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中華航空ストの代償20億元超、地上職にも波及か


ニュース 運輸 作成日:2016年6月27日_記事番号:T00064911

中華航空ストの代償20億元超、地上職にも波及か

 中華航空(チャイナエアライン)の客室乗務員によるストライキは、24日午後9時半過ぎに労使交渉が妥結したため1日足らずで終結し、26日から通常通りの運航を再開した。同社は、▽組合側の要求受け入れ▽欠航による損失▽乗客への補償──だけで損失が20億台湾元(約63億円)を超える上、旅行会社への損害賠償が予想され、企業イメージ低下による乗客離れ対策も必要だ。さらに同社の企業別労働組合は27日、地上勤務職員を含めた全従業員の待遇を客室乗務員に準じて改善するよう要求。争議拡大が懸念されている。27日付工商時報などが報じた。

/date/2016/06/27/00top_2.jpg何董事長はストライキを早期収束したものの、課題は山積みだ(26日=中央社)

 中華航空の客室乗務員が中心の産業別労働組合、桃園市空服員職業工会は要求7項目が全て認められ、完全勝利を収めた。7項目は、▽労働時間カウントを開始する出勤地点を桃園市の本社のみでなく、現行通り台北松山空港も認める▽ステイ費(滞在費)を1時間当たり2米ドルから5米ドルに引き上げる▽労働基準法第84-1条(いわゆる裁量労働制)の締結を解除する ▽労働基準法に従い、国定休日の出勤は給与倍額支給▽年間休日123日(月8日、四半期30日)を保障──など。24日に就任した何煖軒董事長は、年間で経費が2億元近く増加するが、受け入れられる範囲で、コスト増は航空券価格に上乗せしないと説明した。待遇改善のため、深夜早朝出発便(レッドアイ)を減らすなど、過密スケジュールを見直す考えを示した。

 一方、孫洪祥・前董事長によると、客室乗務員3,200人のステイ費を引き上げることに伴い、操縦士1,400人も1時間当たり3米ドルから5米ドルに引き上げれば、年間支出はそれぞれ7億7,600万元、2億1,000万元増え、合計9億8,000万元のコスト増となる。同社の昨年利益57億6,000万元の17%に相当する規模だ。さらに地上勤務の要求も認めれば、合計15億元のコスト増となる。

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社内に漂う不公平感

 同社の企業別労働組合は、会員(組合員)1万人に客室乗務員と同じ7項目を認めるよう、何董事長に要求している。ストライキも視野にあるが、必ず7日前に予告すると説明した。

 ある地上職は、この2日間、飲まず食わず、トイレにも行けずに長時間勤務で対応に追われていたのに、会社側は何もしてくれなかったと、不満を感じている。

 ある操縦士は、操縦士は飛行時間、客室乗務員は労働時間で休憩時間が決まり、客室乗務員の方が休憩時間が長い場合もあるのに、ステイ費は高くなるのかと不公平感を示した。

旅行業界が求償へ

 2日間の欠航は122便に上り、3万人以上の足に影響が出た。同社の試算では売上高2億8,000万元を失った。同社は26日、再度謝罪を表明。個人旅行者、ツアー客に対し、1人当たり100米ドルのクーポン券を提供するなどと説明した。何董事長によると、2日間の損失は合計10億元以上だ。

 交通部観光局の統計によると、2日間で取り消しとなった旅行ツアーは302組、6,057人、海外から台湾に戻るのに影響が出たツアーは175組、3,615人。きょう27日に最後の1組18人が戻る予定だ。中華民国旅行商業同業公会全国聯合会(旅行業全聯会)は中華航空に対し損害賠償を請求する考えだ。

 同社は、交通部傘下の中華航空事業発展基金会(航発会)の出資比率34%をはじめ、政府系株主が50%近い。市民の血税で3億元以上を払うも同然だ。

【表】