ニュース その他分野 作成日:2016年6月28日_記事番号:T00064934
英国の欧州連合(EU)離脱決定を受け、政府と中央銀行(中銀)は27日緊急会合を開き、台湾への短期的な影響は限定的との認識で一致した。林全行政院長は、英国やEUがアジアとの貿易関係強化に動くほか、海外の資金が台湾に流入する可能性があるとして、経済部に対し投資誘致強化を指示した。一方、国家発展委員会(国発会)は、英国のEU離脱交渉に伴い、中長期的に欧州向け輸出に影響すると懸念を示した。28日付経済日報などが報じた。
陳主任委員(右)は、英国のEUとの離脱交渉は長引き、他の国もEUから脱退する可能性があるとの予測を語った(27日=中央社)
27日の台湾株式市場の加権指数は8,458ポイントで引け、前日比18.12ポイント下落にとどまった。売買高は632億5,400万台湾元(約2,000億円)だった。欧州の情勢が不透明で、資金が新興市場に流れると観測される中、台湾株は株価収益率(PER)が低く、第3四半期の経済回復が見込まれるため、優位とみられる。不動産業界関係者は、投資家はロンドンの不動産に対し慎重な見方に転じており、リスクが低いアジア太平洋地域にヘッジすると予測。台湾の生命保険会社も台湾の物件にターゲットを変更すると予想した。
国発会の陳添枝主任委員は、先週末24日の欧米株式市場への影響は大きかったが、きのう27日の日本、韓国、香港、台湾の株式市場は比較的安定しており、耐えられる範囲の衝撃だと語った。陳主任委員はまた、世界の金融機関がロンドンなど英国に置いていた本部や拠点を移転する場合、世界的な資金移動が引き起こされ、アジアも影響を受けると予測した。
中銀、「世界金融危機に至らない」
国発会の龔明鑫副主任委員は、台湾の輸出総額のうち英国は1.5%にすぎないが、欧州市場は9.1%を占めるため、英国のEU離脱で欧州に打撃がもたらされ、台湾の輸出にも影響すると指摘した。
経済部の沈栄津次長も、短期的に台湾と英国の輸出に大きな影響はないが、今年の台湾の経済成長率にはマイナス材料だと述べた。
彭淮南中銀総裁は、英国のEU離脱決定で恐怖指数(VIX)は24~26ポイントに上昇したが、2008年の世界金融危機当時の80.86ポイントほどでなく、アジア通貨危機、IT(情報技術)バブル、欧米の債務危機の際にも及ばないと指摘した。
ハイテク・自転車に影響大
外資系アナリストは、株式市場への影響は限定的だが、欧州売上高構成比が25~30%と高い▽宏碁(エイサー)▽華碩電脳(ASUS)▽宏達国際電子(HTC)──や、欧州売上高が30%に上る自転車最大手の巨大機械工業(ジャイアントMFG)、大手の美利達工業(メリダ)に影響が大きいと指摘した。
欧州市場が売上高の30%を占めるエイサーは、英国ポンドとユーロの為替変動が現地の消費力や需要に影響するため、製品開発やブランド強化で対応すると説明した。欧州の売上高が20%のASUSは、英国市場自体は大きくないが、EUやユーロへの影響を注視しつつ、今後のオファー価格や経営を慎重に検討すると説明した。ASUSは欧州ノートパソコン市場3位だ。
なお、欧州系のアナリストは、台湾企業の利益は米ドルとの連動性が高く、ユーロが1%下がっても利益への影響は0.3%と指摘した。
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