ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

衣類の年間廃棄量520万着、ファストファッションの弊害か


ニュース 社会 作成日:2016年6月28日_記事番号:T00064949

衣類の年間廃棄量520万着、ファストファッションの弊害か

 環境保護団体グリーンピースが27日に発表した衣類の購入習慣に関する調査報告書によると、台湾では1年間に520万着以上の服が廃棄されている現状が明らかとなった。流行の商品を低価格で提供する「ファストファッション」の隆盛により、衣類は手直しして着続けるものでなく、消耗品と化している状況が背景にあるようだ。

 同調査は今年1月4~5日、20~45歳の台湾市民を対象に全土4地区で実施され。1,000件の有効回答を得た。

 調査結果によると、台湾市民は1人当たり平均75着の衣類を所有しており、うち15着はほとんど着ていないことが判明した。さらに2月現在の20~45歳の人口統計(888万7,562人)を基に、1年間に廃棄される衣類の数を520万着以上と推定。1分間に9.9着がゴミ箱や古着回収ボックスに投げ込まれていることになる。

 また同報告書では廃棄される靴の数も540万足を超えると推計しており、こちらは1分間に10足が捨てられていることになる。

 大量の衣類が捨てられる原因と考えられるファストファションは、その時々に流行っているデザインの商品を低価格かつ豊富なバリエーションを用意して消費者の購買意欲を刺激するという側面を持つ。

 米国の作家、エリザベス・L.クラインはファストファッション業界の裏側を取材したルポルタージュ『ファストファッション:クローゼットの中の憂鬱』の中で「流行りの服が安く手に入るなら、消費者が古い服を何度も手直しして着る必要はなくなり、人々が購入する服の数は増える一方だが、どれも数回着ただけで紙ナプキンと同じように使い捨てられるようになる」と指摘。ファストファッションは環境にマイナス影響を及ぼすと警告している。

 グリーンピースは今回の調査結果について、絶え間なく登場する新しいビジネス手法が市民を消費に駆り立て、大量の浪費を生み出していると強い懸念を表明し、消費者に対して「一度立ち止まって過度な消費がもたらす影響について考えてほしい」と呼び掛けている。

 このほか、50%以上の市民が過去2カ月以内にクローゼットの中に長く着ていない服を発見したと回答しており、多くの市民が自分の保有する衣類をあまり把握していないことがうかがえた。