高雄環状軽軌鉄道（ライトレール、ＬＲＴ）は４日、籬仔内駅（Ｃ１）～高雄展覧館（高雄エキシビションセンター、ＫＥＣ）駅（Ｃ８）が正式開通した。沿線には大型ショッピングモールの統一夢時代購物中心（ドリームモール）のほか、中国鋼鉄（ＣＳＣ）本社、高雄軟体科技園区（高雄ソフトウエアパーク）があるため、午前７時～午後９時の10～15分間隔の運行に改め、通勤の利便性を高めた。陳菊高雄市長は、年末までに第１段階の全線14駅の開通を目指すと宣言した。５日付蘋果日報などが報じた。

高雄ＬＲＴが市民の足として本格利用される日を迎えた。全線が開通すれば市内の交通の利便性が大幅に高まる（高雄市リリースより）

　高雄ＬＲＴは昨年10月、高雄市前鎮区の籬仔内駅を起点に西方向に、▽凱旋瑞田駅（Ｃ２）▽前鎮之星駅（Ｃ３）▽凱旋中華駅（Ｃ４）──まで４駅が開通しており、今回の延伸で高雄港に沿って北上する▽夢時代駅（Ｃ５）▽経貿園区駅（Ｃ６）▽軟体園区駅（Ｃ７）▽高雄展覧館駅──まで計８駅が結ばれた。途中の前鎮之星駅は、高雄ＭＲＴ（都市交通システム）紅線の凱旋駅との乗り換え駅だ。

　通勤の足を想定し、５日から運行時間を午前７時～午後９時とし、従来の30分間隔からピーク時は10分間隔、オフピーク時は15分間隔に短縮した。初期は交通系ＩＣカード、一卡通（Ｉパスカード）で無料で乗車できる。早ければ夏季休暇明けに有料化を検討する。

　高雄市政府捷運工程局の呉嘉昌主任秘書は、沿線で働く従業員は１万人以上おり、無料乗車期間は通勤利用で旅客輸送量が増えるが、１回30台湾元（約95円）の運賃適用に向け、対策が必要だと語った。

　交通大学運輸物流管理学系の馮正民教授は、乗車の時間帯や距離によって異なる運賃を適用した方がよいと語った。

休日１万人の乗車予想

　高雄ＬＲＴはこれまでの試運転期間中、平日の旅客輸送量は１日当たり延べ1,000人、休日は1,200人にすぎなかった。

　張国光ドリームモール総経理は、今後、休日は延べ１万人以上が高雄ＬＲＴを利用し、商機をもたらすと期待感を示した。ドリームモールは、７月末までＩパスカードで高雄ＬＲＴに乗車した利用客に対し、ドリームモールの観覧車乗車券を優待価格100元（通常150元）で提供する。

　大型商業施設、台鋁生活商場（メトロポリタン・リビング・デベロップメント、ＭＬＤ）は、高雄ＬＲＴで家族連れの外食や映画鑑賞などの機会が増え、来店者数が１日当たり延べ1,000～2,000人増えると見込む。８月末まで館内の書店で21％引きキャンペーンを実施する。

　高雄市政府観光局は、高雄ＭＲＴの往復乗車券やドリームモールの観覧車乗車券などがセットになった「高雄ＬＲＴ軽旅行」を優待価格299元（通常509元）で提供する。このほか、週末は高雄展覧館駅近くの新光埠頭（ふとう）から出る観光フェリーに優待価格100元で乗船できる。

陳市長（左２）は、高雄ＬＲＴは高雄市立図書館本館、海洋文化音楽流行センターなども通り、新しい生活圏を創出すると語った（高雄市リリースより）

全線開通、来年半ばか

　高雄ＬＲＴ第１段階は、全線8.7キロメートルで投資額57億元。今後、高雄展覧館駅から高雄港沿いをさらに北上し、▽旅運中心駅（Ｃ９）▽光栄埠頭駅（Ｃ10）▽真愛埠頭駅（Ｃ11）▽駁二大義駅（Ｃ12）▽駁二蓬莱駅（Ｃ13）▽哈瑪星駅（Ｃ14）──まで延伸する。終点の哈瑪星駅は、高雄ＭＲＴ橘線（オレンジ線）の西子湾駅との乗り換え駅だ。高雄市政府捷運工程局は、システムテストや完成検査などがあり、全14駅の開通は来年半ばになるとの見通しを示した。

　2019年完工予定の第２段階は、哈瑪星駅から北へ向かい、台鉄美術館駅を経て、計23駅で籬仔内駅までを半円状に結ぶ計画だ。これにより計37駅の市内環状線が完成する。