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中部横貫公路の閉鎖から16年、地元で新ルート求める声


ニュース 社会 作成日:2016年7月5日_記事番号:T00065078

中部横貫公路の閉鎖から16年、地元で新ルート求める声

 台湾の中央部を東西に横断する中部横貫公路(中横公路、台8線)のほぼ中央部に位置する谷関~徳基区間は、1999年に発生した台湾中部大地震や04年の台風による被害を受けた後、復旧工事が進まず、16年にわたり周辺住民や業務員以外の通行が禁止されてきた。これにより同区間の農業および観光産業は衰退の一途をたどっており、地元からは新たにトンネルを通し、安全なルートを開設するよう望む声が上がっている。

 中横公路は日本統治時代の1914年に開かれた道路を基に56年に着工。大理石の岩肌で知られる太魯閣峡谷(タロコ渓谷)縫うように自動車道を通すという難工事で225人の犠牲者を出しながら60年に全線が開通。2,000メートルを超える高地の集落で経済価値を持つ農業を営むことが可能となった他、多くの観光客をもたらした。

 しかし99年の大地震により、谷関~徳基区間は壊滅的な被害を受けて通行不能となり、その後、修復が進められたものの、工事完了直後の04年7月に襲来した台風による水害で大規模な土砂崩れが発生。その結果、公聴会で再建しないことが決議された。

 その後、地元から道路の復旧を望む声が挙がったため、地元住民限定の通行を想定して復旧工事が進められ12年に利用が再開されたが、かつて2万人が暮らし、大勢の観光客で賑わった同区間に位置する梨山里(台中市和平区)では、人口が現在1,500人まで急減。観光客の姿も絶え、活気は失われてしまった。

 そんな中、現在、谷関~徳基区間の本格復旧を進め、観光バスの通行を開放すべきとの声が挙がっており、同区間を視察した林佳龍・台中市長も「思ったより安全」と述べて通行再開に前向きな姿勢を示した。交通部の范植谷常務次長は「公路総局は既に改善工事に10億台湾元の予算を計上しており、来年末から3段階で工事を進め、完了時には中型バスが通行可能になる」と表明した。

 ただ、梨山里の陳政福里長は、自然災害の被害を受けた現在の道路に多額の資金を投じるよりは、新たにトンネルを掘ってより安全で利便性の高いルートを開設した方がいいと主張している。