ニュース 社会 作成日:2016年7月7日_記事番号:T00065130
南投県と花蓮県の県境に位置する名峰、合歓山(標高3,417メートル)の山頂付近に位置する武嶺の展望台と昆陽の駐車場は、視界が広く開けている上、周囲に人工的な明かりがほとんどないことから台湾有数の天体観測スポットとなっている。しかしこのほど、この2カ所に街灯が設置され、煌々(こうこう)と輝く光が観測環境に影響を与えるようになり、天文ファンから激しい抗議の声が上がったため、すぐに点灯が中止された。
まぶしいほどの明るさを放つ街頭。台北市天文協会の劉幹事は、街灯の代わりに反射板などを使っている海外の事例を紹介し、自然環境と安全のバランスが大切だと話した(6日=中央社)
標高3,000メートル以上に位置する武嶺の展望台と昆陽の駐車場は「東アジア最高の天体観測スポット」と称され、連日夜になると大勢の天文ファンが詰め掛け、天体望遠鏡やカメラを設置して満天の星空の観測や撮影にいそしんでいる。
一方、合歓山の山腹を通る道路で最近、落石が相次いでいる上、台風シーズンが近付いているほか、夜間は暗過ぎて運転に支障が出る可能性があることから、交通部公路総局は6月30日、武嶺展望台と昆陽駐車場の入り口に250ワットのHIDランプを搭載した街灯を設置した。
しかしその後、同地を訪れた天文ファンから、「街灯が明る過ぎて星が見えにくくなった」などと不満の声が上がったほか、問題がメディアで報じられたことからネット上で議論が巻き起こった。同地で行われる天体観測イベントにたびたび参加している台北市天文協会の劉志安総幹事は、「合歓山は台湾における光害問題の指標的な場所であり、ここの環境を破壊するような行為をしては世界の笑いものになる」などと批判。自身が所属する、光害問題に取り組むフェイスブック(FB)上のコミュニティー「台湾星空守護連盟」を通じて立法院で抗議活動を行うと表明した。
また地元、南投県清境観光協会の李従秀理事も、「当地では観光の目玉として天体観測イベントを実施しているが、街灯の設置によって美しい星空が失われてしまった」と不満を述べている。
抗議の声が噴出したことを受けて公路総局は6日夜に、武嶺展望台と昆陽駐車場、さらに合歓山旅客センターの街灯も併せて撤去した。
一方で合歓山は濃霧に見舞われることも多く、街灯があった方が安全との声も上がっており、天体観測と安全を両立させる方策を見つけるのはなかなか困難なようだ。
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