ニュース 自動車・二輪車 作成日:2016年7月11日_記事番号:T00065139
トヨタの台湾総代理店、和泰汽車の蘇純興総経理は経済日報のインタビューで、英国の欧州連合(EU)離脱決定で急速に円高に振れており、来年の新車やモデルチェンジ発表を待たずに値上げに踏み切る可能性があると語った。一方、今年の新車販売市場規模は42万台で前年並みを維持するとの予測を示した。年初から施行された新車買い替えの貨物税(物品税)5万台湾元(約16万円)減免措置で、景気自体は良くないが、10年ぶりに買い替えが促進されているためだ。11日付経済日報が報じた。
蘇総経理は今年の台湾の景気について、北部の商業活動が10%減、南部は15%減と、中国人観光客の減少の影響が出ており、製造業の輸出も良くないと語った。自動車は、高額の買い物のため景気の影響を受けやすいが、新車買い替え減税措置のおかげで、まずまずだと話した。
和泰汽車が年初にトヨタと予測した今年の新車販売市場規模は昨年と同水準の42万台で、うち1万5,000台が減税措置の効果だ。蘇総経理は、上半期の新車登録台数(22万2,209台、前年同期比2.3%増)を見る限り、正確な予測だと語った。
蘇総経理は、新車買い替え減税措置は、老朽化した車両の買い替えを促進することで環境保護を図る目的もあると評価した。ただ、買い替え促進効果は2~3年後、4~5年後まで続くとは限らないと話した。
消費者も値上げ予想
蘇総経理は、価格調整は通常、モデルチェンジや新型車発表の際に行うが、今年はトヨタの収益が良くない上、英国のEU離脱決定で急速に円高に振れたため、前倒しで値上げする可能性があると語った。昨年の新車発表時は1米ドル=105~110円の設定だった。
また、新車販売については6月中旬に一時落ち込んだが、下旬に注文が突然増えており、円高で消費者も値上げを予想していることの反映だと指摘した。
レクサス販売、前年以上を予測
蘇総経理は、トヨタブランドでは7月からのタイヤ空気圧監視システム(TPMS)搭載義務付けに伴い、月間販売台数が合計2,000台に上る「ウィッシュ」と「イノーバ」が6月末で生産停止となったと説明。ただ、輸入SUV(スポーツ用多目的車)「RAV4」や、「ヤリス」「ヴィオス」「カローラアルティス」の売れ行きが良く、今年通年の販売台数は前年並みを維持したいと語った。今年末には小型ミニバン、「シエンタ」を発表するが、売れるのは来年だと述べた。
レクサスブランドでは、「レクサスRX」シリーズが今年1月以降、中大型高級SUV(スポーツ用多目的車)市場でシェア35%以上を占め、6月の新車登録台数は476台に上った。「レクサスES」は昨年「ES200」がラインアップに加わり、安定して売れている。今年の販売台数は1万4,000~1万5,000台と、前年を上回る見通しだ。
垂直・水平統合が完成
蘇総経理は、7月の幹部の大幅な人事異動、チューリッヒの損害保険台湾子会社、蘇黎世産物保険(チューリッヒ・インシュアランス台湾)買収で、和泰汽車のバリューチェーン構築が完成したと語った。
和泰汽車の投資先は、▽トヨタ車などを製造する国瑞汽車▽オートローンの和潤企業(イージーペイ)▽レンタカーの和運租車(トヨタモーター)▽自動車用品の車美仕(カーマックス)▽中古車情報サイト「@bc好車網」──など、自動車業界を網羅している。垂直統合、水平統合で相乗効果を拡大する構えだ。
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