ニュース 鉄鋼・金属 作成日:2016年7月14日_記事番号:T00065229
ベトナム中部沿岸の魚の大量死問題は、原因とされた台塑集団(台湾プラスチックグループ)のベトナム大型製鉄所が損害賠償5億米ドルを支払うことで一応の決着がついたが、経済部は13日、東南アジア諸国連合(ASEAN)との投資保障協定を現在精査しており、見直しを行う可能性もあるとの考えを示した。一方で、今後もASEANとの貿易、産業提携、投資を強化するとして、東南アジアやインドとの関係強化を目指す蔡英文政権の「新南向政策」に変更はないと強調した。14日付聯合報などが報じた。
ホアン局長は、台湾なくしてベトナムの経済発展はないと語った(13日=中央社)
経済部投資業務処は同日、ベトナムのドー・ニャット・ホアン計画投資省外国投資局長らを招き、台湾ASEAN投資戦略パートナーフォーラムを開催した。台プラグループのベトナム大型製鉄所、フォルモサ・ハティン・スチール(台塑河静鋼鉄興業、FHS)の事案について、ホアン局長は、単なる個別事案にすぎないと強調。ベトナム政府は最も早く1990年にベトナムに進出した台湾企業による経済発展への貢献を高く評価しており、今後も投資を歓迎し、支援すると表明した。
ホアン局長は、FHSの事件を通じ、ベトナム投資を行う海外企業に知ってほしいことは、現地の法律を順守し、環境保護に注意を払うことだと語った。そうであれば、ベトナム政府は投資企業を重視し、尊重すると話した。FHSの賠償の進捗(しんちょく)状況についてのメディアからの質問に対しては、ベトナムと台湾政府の所管機関が対応するとのみ回答した。
経済部の王美花次長も、FHSは個別の事案であり、いかなる国・地域も、環境保全と経済成長を両立するために投資規定を設けていると指摘した。またASEANは台湾にとって2番目の貿易相手で、統計によると、ASEANへの累計投資額は約880億米ドル、投資を実行した企業1万1,000社以上、25万人以上が30年にわたり現地で生産ネットワークを築いていると強調した。
ベトナムで泥の処理は、政府から認可を取得した業者が行わなければならない(13日=中央社)
90年代の投資協定、不備を懸念
中華経済研究院(中経院、CIER)の徐遵慈ASEAN研究センター主任は、FHSの事件は個別事案にとどまらない懸念がある上、ASEAN諸国と投資協定を締結したのは大部分が90年代で、不完全な部分が多く、早急に見直すべきと提言した。
これについて王・経済部次長は、ASEAN諸国との投資協定の見直しは今後の課題だと語った。シンガポールの駐台代表は、シンガポールはASEANとの投資協定を重視しており、工場火災事故発生時に早期に補償を受けられたと指摘。台湾もリスク評価を行い、もっと努力すべきだと話した。
違法廃棄の疑いで調査
ベトナム現地紙「タインニエン」は、FHSの産業廃棄物100トンがハティン省の農場に違法に廃棄されており、有害物質の含有の有無を当局が検査しているところだと報じた。
張復寧FHS執行副総経理は13日、これらの廃棄物は工場排水の泥で、現地の合法業者2社と契約し、処理を任せていたが、うち1社が手順通りに処理していないことが分かり、既に契約を解除したと説明した。その上で、ベトナム当局も調査しており、今後の指示に従うと話した。
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