ニュース 社会 作成日:2016年7月15日_記事番号:T00065269
衛生福利部中央健康保険署(健保署)の統計によると、昨年台湾の救急外来の受診件数は720万件で前年比15万件増加した。しかしこのうち、重症度の判別(トリアージ)で、バイタルサイン(生命徴候)が安定している3~4級と判定された患者が約8割を占め、命の危険が差し迫っている1~2級の患者に対する処置に影響を及ぼしかねない状況であることが明らかとなった。
このほか、市民の「大病院信仰」が広がっている影響で、台湾大学医学院附設医院(台大医院)など医学センターと呼ばれる拠点病院の病床不足問題が深刻化しており、台大医院では救急患者の27%がベッドを手配されるまでに48時間以上待機していることが分かった。救急車で運ばれても4人に1人がベッドに横になれない計算となる。さらに亜東紀念医院(新北市板橋区)、新光医院(台北市士林区)、台中栄民総医院(台中市西屯区)、林口長庚紀念医院(桃園市亀山区)といった医学センターでも同様の問題を抱えている。
台大医院救急医学部の顔瑞昇医師は、同院の救急センターで受診する患者の半数は同センターに入院する必要のない者だが、患者自身やその家族に転院を拒否されるケースが多く、病床不足が一向に解消されないと説明。その上で軽症と判断された患者に対し、強制的に転院させる措置を講じるべきと政府に提言した。
こうした中、健保署では医学センターで重症患者に対する治療水準を引き上げるため、重症患者以外の速やかな転院を進めるべく、今年3月より医学センターの医師が患者の転院先に出向き、出張診療を行った場合、奨励金を支給する制度を導入した。しかし、現時点で同制度の利用はわずか3件(いずれも台南医院)にとどまっている。
健保署の蔡淑鈴副署長は、問題の原因は複雑で、制度を一つ導入すれば解決できるわけではないとした上で、特に救急医療に対する患者の理解を深めることが重要と語った。
なお新光医院救急医学科の張志華医師は、「調査の結果、市民の8割がトリアージの結果に基づく転院を受け入れる意向を示しているが、現状では適切な補完措置が講じられていないだけだ」と強調。症状に合った治療が受けられる病院や医師を検索できるマップアプリの提供や医療相談が24時間受けられるホットラインの開設などを提言している。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722