ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

観光バス全面検査へ、1.7万台が対象


ニュース 社会 作成日:2016年7月21日_記事番号:T00065361

観光バス全面検査へ、1.7万台が対象

 中国人観光客ら乗客乗員26人全員が死亡した観光バス炎上事故を受け、賀陳旦交通部長は20日、台湾全土の1万7,000台の観光バスを対象に、非常口、消火器など車内設備の全面検査を推進すると表明した。警察・検察の調べによると、事故車両の非常口に後付けの防犯ロックがかかっていたため、乗客らが脱出できなかった可能性がある。中国メディアは、台湾当局がずさんな安全管理を改善しなければ、訪台中国人旅行者の減少は免れないと警告した。21日付蘋果日報などが報じた。

/date/2016/07/21/00bus_2.jpg左側面の非常口は、現場調査では簡単に開いた。事故当時かかっていた防犯ロックが焼失した可能性がある(中央社)

 賀交通部長は、▽観光バスの車内設備と材質の全面検査▽新型車の抜き取り検査の比率を25%に引き上げ▽車検で点検整備書類の添付義務付け──を行うと表明した。また今後1週間以内に優良観光バス事業者リストをインターネット上で公開する。8月からスピード違反、信号無視、運転手の疲労具合などの記録も公表し、消費者が監督できる仕組みを作る。観光バスへの全地球測位システム(GPS)搭載、運転手の行動管理も評価対象とする。このほか、観光バスの運転手の運転状況を即時確認できるクラウドシステム計画を2カ月以内に発表する。

 交通部はさらに、来年1月から観光バスの新車両に対し、側面2カ所に開閉可能な出口、右側1カ所、左側2カ所以上に開閉可能な窓を取り付けることを義務付けると説明した。

 ただ、逢甲大学運輸科技管理学系の李克聡副教授は、交通部の対策では根本的な解決にならないと指摘。▽車内設備の設置基準制定▽運転手の教育訓練強化▽乗客への避難方法の案内の強化──が必要だと提言した。

電化製品の使い過ぎか

 司法解剖の結果、運転手の死因は一酸化炭素の吸引によるショック死と認定された。事故直前の運転中に意識があったかは調査を進める。

 観光バスは事故当時、警察官らが2人がかりで車外から非常口を開けることができなかったため、防犯ロックがかかっていた疑いがある。事故車両の組み立てを行った彰化市の森勇汽車は、出荷時には防犯ロックは付けていなかったと証言。ある運転手によると、盗難防止のため観光バスの9割に防犯ロックが取り付けられているという。

 警察・検察の調べによると、観光バスは電圧が24ボルト(V)から110ボルトに変更されており、これによって運転手後方のヒューズボックスがショートして出火した可能性がある。また、携帯電話と扇風機の電源がコンセントに差し込まれており、車内の冷蔵庫やウォータークーラーから発火した可能性もある。

 水道電気設備業者は、電源の電圧と異なれば、電化製品が壊れるだけでなく、最悪の場合は火災を引き起こすと指摘した。

遺族100人が訪台

 中国国務院台湾事務弁公室(国台弁)は20日、中国の李克強首相から早急な状況把握を指示されたと明かした。国台弁や海峡両岸旅遊交流協会(海旅会)など中国政府関係者4人が20日に訪台。遺族は21日午後の便で台湾入りする予定だ。交通部観光局によると、被害者は5世帯24人で、訪台する遺族は80~100人に上る。