ニュース 社会 作成日:2016年7月26日_記事番号:T00065455
南シナ海をめぐる国際仲裁で台湾が実効支配する太平島が「岩礁」扱いされたことに抗議する台湾漁船3隻が25日深夜、6日間の航行の末、太平島に到達した。26日付中国時報が伝えた。
太平島接岸後、国軍から食料や「太平水」を受け取ったほか、2名の負傷した船員の手当も行われた(26日=中央社)
漁船団は太平島が岩礁扱いされた場合、国際法上は排他的経済水域(EEZ)を主張できなくなり、漁業権が脅かされるとして、自発的に太平島を目指した。
漁船団は「飲料水の補給」という名目で、25日午後11時に太平島に入港。公式には乗組員の上陸は認められなかったが、乗組員は接岸地点で船の周辺を歩き、事実上の上陸は果たした。漁船団は本来5隻が上陸を目指したが、1隻は途上で故障。もう1隻は香港メディアが乗船していたことから接岸が認められなかった。
漁船「満吉勝号」の陳富盛船長は、入港時に「とても光栄で誇りに思う」とコメントした。ただ、上陸を認められなかった漁船員からは「政府が漁民を重視していないことの表れだ。心が冷め切った」といった失望の声も漏れた。
漁船団は国軍から食料や飲料水の補給を受け、太平島を離れ、屏東県東港に向け帰途に就く予定だ。
今回の上陸運動の広報担当、羅強飛氏は「太平島の水『太平水』を取ることが主な目標であって、上陸するかどうかは重要ではなく、漁民が決定できる問題ではない」としながらも、「上陸できれば最も理想的だ。漁民が自発的に上陸することは、すなわち自分たちの権利を守りたいという思いにほかならないからだ」とコメントした。
「無許可上陸は認めない」
行政院の童振源報道官は「漁民の上陸は国際社会にさほどアピール効果はなく、海岸巡防署(海巡署)の係官による駐留こそ最大のアピールになる」と述べたほか、「太平島は軍事規制区域であり、許可なくみだりに立ち入れるというのでは、国家主権は存在しなくなる」と述べ、無許可上陸は認めないとの立場を強調した。
軍当局は太平島に上陸するには45日前までに申請することを求めている。
香港メディア同行が物議
太平島に向かった漁船団のうち「海吉利号」に香港の中国系テレビ局「鳳凰衛視(フェニックステレビ)」の記者3人が同行し、太平島への接岸が認められなかったことをめぐり、行政院農業委員会(農委会)漁業署は、同船が台湾に戻り次第、状況を判断した上で処分を行う構えだ。漁船は免許取り消し処分を受ける可能性もある。
3人の記者はいずれも台湾籍で、尖閣諸島(台湾名・釣魚台列嶼)の取材を想定して船員手帳を保有していた。3人は乗船手続きに不備があった場合、最高15万台湾元(約50万円)の罰金処分を受ける。
鳳凰衛視は中国政府寄りの報道スタンスで知られており、台湾政府としては台湾が実効支配し、軍事上の重要拠点でもある太平島を同局が取材することには神経質にならざるを得なかったとみられる。
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