ニュース その他分野 作成日:2016年8月1日_記事番号:T00065549
7日連続勤務を違法とする労働基準法施行細則(施行規則)解釈の実質的な適用開始が10月に先送りされた。行政院は30日、労働基準法に明文化されていないため、労働部に対し2カ月以内に裁量基準を制定し、旅行、メディア、公共交通機関など特定の業種に対する柔軟な適用を検討するよう指示した。人手不足を理由にバス減便を表明するなど、強く反発していた産業界に配慮した格好だ。ただ産業界はサービス業など全業種を再検討するよう主張しており、今後2カ月間で政府、労使間で共通認識が得られるかは予断を許さない。1日付工商時報などが報じた。
郭労働部長(右)は、当面は12日連続勤務でも違法と言えないと明言した(行政院リリースより)
行政院の発表によると、労働部は6月29日、雇用主が労働基準法施行細則の解釈を乱用(または誤用)し、労働者が連続勤務で過労になっているとして、8月1日から「12日間連続勤務」が可能だった従来の解釈を廃止すると発表した。これによりきょう1日から「6日勤務ごとに1日の休日付与」が全面適用されたものの、行政院は31日、労働基準法第36条で義務付けられておらず、新たな裁量基準が出される前の現状では、実施しない企業に対して処分はできないと態度を軟化させた。さらに郭芳煜労働部長は、旅行、メディア、公共交通機関など特定の業種に対しては、変形労働時間制でなく、裁量労働制で対応する方針を示した。
政府が態度を軟化させるまでは、長距離バス業者が帰省客の多い中秋節(旧暦8月15日、2016年は9月15日)連休での増便対応を拒否すると表明するなど抗議姿勢を強めていた。
賀陳旦交通部長は、交通公共機関とは協議を進めており、中秋節の交通の便に影響は出ないと語った。特にへき地の路線は交通部が補助金を支給することで、運転手不足や7日連続勤務禁止によるコスト増加によって市民の足が奪われないようにしたいと述べた。
バス減便を取りやめ
延期発表を受け、バス業界の中華民国公共汽車客運商業同業公会全国連合会の方森徳秘書長は、42社が8月からのバス減便を取りやめ、中秋節連休も増便対応を実施すると表明した。一方、台湾鉄路(台鉄)の運転士で構成する労働組合、火車駕駛員聯誼会全国総会は、運転士は人手不足が恒常化し、長期にわたり残業を強いられ、心身ともに疲労していると指摘。きょう1日から、9月6日以降は法定通り休暇を取得し、国定休日は休日出勤しないという署名集めを開始し、5日に台鉄に提出すると表明した。これにより台鉄に対し、早急な人員補充の必要性を理解してもらいたいと語った。
旅行業界の中華民国旅行商業同業公会全国聯合会(旅行業全聯会)の李奇岳広報担当は、7泊8日や10日以上の長期ツアーを受け持つガイドやツアーコンダクターは7日ごとに1日休むわけにいかないので、労働基準法第84-1条(いわゆる裁量労働制)の適用範囲に含め、労使が労働時間を柔軟に設定できるようにしてほしいと語った。
メディア業界の台北市報業商業同業公会の羅国俊理事長も、例えば海外での五輪選手の取材などでインタビュアーが7日ごとに1日休むことはできないと話した。これに対し中正大学メディア学系の管中祥副教授は、海外取材は特殊な状況だと指摘。使用者側はコスト削減ばかり考えているが、長時間労働が続けば、労働者の権益が損なわれるだけでなく、報道の質も低下すると指摘した。
「3分の1の業種、導入困難」
中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長は、商総の131業種を調査したところ、3分の1以上が7日連続勤務を禁じるのは不適当だったと説明。旅行、運輸、メディアだけでなく、漁業、農業、葬儀、物流などの業種に対しても、変形労働時間制などで柔軟に対応しなければ、労働者の生計に影響すると懸念を示した。政府が態度を軟化させたので、街頭デモは行わず、2カ月間の移行期間を利用して、サービス業を変形労働時間制のポジティブリストに加えるよう、担当官庁と交渉を行うと述べた。
中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の蔡練生秘書長は、国定休日7日間の復活や、「一例一休」(法定休日と所定休日を7日間に各1日)導入で、残業手当の支給が過度に増える懸念に対し、まだ政府から前向きな回答が得られていないと語った。
一方、労働団体は、政府は使用者側のバス減便などの脅しを受けて譲歩するべきでないと批判した。7日連続勤務の禁止すらできなければ、完全週休2日化制の実現も掛け声倒れになると懸念を示した。
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