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バスに190万元放置した女性、「亡き母のためのお布施」


ニュース 社会 作成日:2016年8月9日_記事番号:T00065729

バスに190万元放置した女性、「亡き母のためのお布施」

 7月27日、台北市内で路線バスに乗っていたある女性(48)が手提げ袋を車内に置いたまま下車しようとしたため、これに気付いた他の乗客が彼女に袋を手渡そうとしたところ、女性は意外にも「要らない」と答え、そのまま立ち去った。仕方なくバスの運転手が袋を営業拠点まで持ち帰り、中身を改めたところ、なんと中から現金190万台湾元(約620万円)が現れた。

 バスの運転手によると、現金を放置した女性は当日午後4時ごろ、南京東路五段のバス亭「南京公寓」でバスの前に停まっていたタクシーから転がり落ちた後、タクシー運転手に支えられながらバスに乗り込んだ。乗客で混み合う車内後方の座席に腰を下ろした彼女は、その後、気を失ったかのように目をつむっていたが、バスが「国防医学センター」に到着すると突然目を覚まして前方に駆け寄り「ドアを開けて!」と連呼した。

 女性のただならぬ様子に運転手は「病院まで送りましょうか?」と声を掛けたが、彼女は拒否した。その時、バスに同乗していた他の乗客が、女性が座っていた座席に手提げ袋が残されているのを発見し、女性に渡そうとバス前方まで届けた。しかし彼女からは思いもよらず「要らない、要らない。それは要らないの」との返答が。そして逃げるかのようにバスを降り、運転手や乗客が大声で「忘れ物だよ」と呼び掛ける中、振り返りもせずに立ち去っていった。

 運転手の通報を受けて捜査を行った警察が監視カメラの映像などを基に女性の身元を特定し、父親に事情を聞いたところ、彼女は2年前に母親を亡くしてからふさぎ込むようになり、家族や友人の勧めで、心の安らぎを求めて各地の有名寺院に足を運ぶようになったという。

 さらに彼女自身は、ある僧侶から最近「お布施をして心の重荷を解き放ってはどうか」と持ち掛けられたため、亡き母のために功徳を積もうと現金を捨てて他人に拾わせることを思い付いたと説明した。

 なお騒ぎを起こした際、彼女は心のコントロールが効かなくなって病院に向かう途中で、バスを降りて精神科で診察を受けた後、そのまま現在まで入院しており、今では「バカなことをした」と自覚しているそうだ。