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中元節の冥銭焼却、環保署が廃止に動く


ニュース 社会 作成日:2016年8月12日_記事番号:T00065812

中元節の冥銭焼却、環保署が廃止に動く

 台湾では先祖を供養する際、「紙銭」と呼ばれる疑似紙幣(冥銭)を燃やすという風習があり、特に中華圏のお盆に当たる中元節(旧暦7月15日、今年は8月17日)では各家庭の軒先で黄色い紙銭が焼かれる光景が至るところで見られる。しかし環境保護署(環保署)は、1年に燃やされる紙銭の量は24万トンに上り、これによって排出される二酸化炭素(CO2)の量は8,236トンと自動車2万台に相当、PM2.5(微小粒子状物質)の排出量も610万トンに達し、環境破壊や大気汚染につながっているとしてこの風習をやめるよう市民に呼び掛けている。

/date/2016/08/12/19money_2.jpg環保署によれば、1年で燃やされる冥銭を積み上げると7,436メートルとなり台北101ビル15棟分に相当する(9日=中央社)

 環保署は紙銭を燃やす習慣の廃止に向け、著名な映画監督、呉念真氏がメガホンを取り、人気コメディアン、郭子乾を主演に起用した「心がこもっていれば供養に紙銭はいらない」と題する啓蒙動画を制作し、10日に発表した。

 さらに中元節の供養やその他の宗教活動の際には、紙銭を購入する費用で米を買い、寺院や慈善団体に寄付するなど功徳を積むことで神の恩恵を受けようと呼び掛けた。

 なお紙銭を燃やさなければ神の不興を買うのではと懸念する市民のため、都市の守護神「城隍神」を祭る台湾省城隍廟(台北市)など各地の寺院では、市民から託された紙銭を集中して焼却するサービスを提供している。城隍廟の詹鈴権董事長は、「祈祷(きとう)などの正式な手続きを踏んだ上で燃やすため、神への敬意が目減りすることはない」と強調している。

 真夏の暑い盛りに道端で紙銭がもうもうと煙を吐き出す光景は、今後台湾から姿を消していくのかもしれない。