ニュース 電子 作成日:2016年8月15日_記事番号:T00065823
鴻海精密工業は12日、シャープ買収を完了した。郭台銘(テリー・ゴウ)董事長は「完璧なスタートだ」と語り、ブランド経営への期待感をにじませた。鴻海は、中国の湖南省衡陽市のモジュール生産拠点設置に1億米ドル以上を投じる計画で、シャープのスマートフォンや省エネ家電製品の東南アジア販売拡大を支援するなど、従来の日本重視から世界市場に照準を合わせ直す。市場では、アップルが2018年にiPhoneにシャープの有機EL(OLED)パネルを採用するほか、遅くとも21年に発売するスマートカーに鴻海とシャープの車載用パネルを搭載するとみられている。15日付経済日報などが報じた。
郭董事長(右1)は、「鴻海は不景気のときこそ投資のアクセルを踏む」と語った。左2は戴副総裁(13日=中央社)
鴻海は12日、中国の競争法当局の審査完了で各国・地域の当局の審査が全て完了したため、シャープに3,888億円の払い込みを完了し、議決権の66.07%を取得した。戴正呉・鴻海副総裁は13日シャープ社長に就任し「再建に向け、責務を全力で果たす」と表明した。
戴副総裁は台湾で、短期目標はシャープの黒字転換、混乱した経営と管理の立て直し、そして自身が鴻海との架け橋となりシャープの価値を創造することと話した。長期目標は、グローバルプレーヤーとしてのシャープブランドを再建することと語った。日本との取引は40年、シャープとの取引は6年を超え、堺ディスプレイプロダクト(SDP)工場の経営も経験しており、「シャープを最も理解しているは私だ」と述べた。後継者はシャープ幹部が候補だが、適任者がいなければ外部から招聘(しょうへい)すると語った。
郭董事長は、シャープの研究開発(R&D)チームが1週間前から台湾入りしており、彼らも鴻海の一部の技術はシャープを上回ると認めたと明かした。このため、両社は相互補完性があると指摘した。
印ネット販売も
鴻海傘下の富智康集団(FIHモバイル)の徐牧基副総裁は、衡陽市で1億米ドル以上を追加投資し、河南省鄭州市以南で最大のモジュール生産拠点にする計画を明かした。中国の衡陽市では現在、シャープ、ヤマダ電機の省エネ家電や、聯想集団(レノボ)のタブレット端末を主に生産している。
関係筋によると、鴻海はシャープの海外市場開拓を支援し、特に東南アジアの販路などをリソース統合で強化する計画だ。シャープは既存のインドの実体店舗に加え、鴻海が出資するインターネット通販などで、シャープの家電やモバイル端末を販売することになりそうだ。
鴻海は、創業者スティーブ・ジョブズの魔法が徐々に溶け、大口顧客アップルが以前のような勢いを失った中、次の一手を迫られている。アップルウオッチャーとして知られる元バークレイズ・キャピタル証券総経理の楊応超氏は、ブランド経営は鴻海にとって「言えない秘密」だが、郭董事長は着々と推進していると指摘した。シャープは液晶テレビ、冷蔵庫、洗濯機、空気清浄機など白物家電で世界的に知名度が高いが、鴻海の既存顧客の製品ラインアップとの重複は少ないため、思い切ったようだ。
iPhoneパネル、台湾資本初
証券会社は、シャープは鴻海から資金が得られたため、18年にアップルのiPhone向けにアクティブマトリックス式有機EL(AMOLED)パネルを量産する計画だと指摘した。鴻海は、アップルの最も重要な生産委託先だが、現在iPhoneのパネルを供給しているのはLGディスプレイ(LGD)、ジャパンディスプレイ(JDI)だ。シャープがAMOLEDパネルを供給できれば、台湾資本として初めてのサプライチェーン入りとなる。
市場観測によると、アップルは今年スマートカー関連の特許が認められており、遅くとも21年にスマートカーを発売する見通しだ。鴻海とシャープは主要サプライヤーとして、車載用パネルを供給するとみられる。
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