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男性の育児休暇、最大の悩みはやはり復職


ニュース 社会 作成日:2016年8月15日_記事番号:T00065838

男性の育児休暇、最大の悩みはやはり復職

 育児休暇を取得する男性は年々増え続け、高雄市では昨年1,118人と4年前のほぼ2倍になった。ただ、取得者の男女比で見ると男性15%に対し女性85%と、まだまだ少ないのが現状だ。

 男性の育児休暇取得の壁になっているのは、依然、職場の無理解だ。高雄市労工局は過去3年、育児休暇を取得したため春節ボーナス(年終奨金)の支給を止められたという訴えを2件、育児休暇取得後に人事異動を示唆されるという相談1件を受け、ボーナスを支給しなかった会社には罰金処分を下した。他市でも「以前のポストを失い、倉庫の包装係に回された」「育児休暇そのものを拒否された」などといった訴えが出されている。法律では育児休暇は最大2年まで認められ、民間企業の従業員は最初の半年間、給与額の6割を受領でき、企業は職場復帰を拒否してはならないと定められている。それでも、収入減やその後の昇進に響く可能性を考えて、二の足を踏む男性は依然少なくないようだ。

 一方、社員の育児休暇取得に力を入れている企業もある。半導体のパッケージング・テスティング(封止・検査)最大手の日月光半導体製造(ASE)では、過去1年半で472人が申請、休暇を終えた社員は相次いで元のポストで職場復帰を果たした。2番目の子供が生まれた昨年12月に育児休暇を申請したある男性社員は、「子供を育ててみて初めて妻の大変さが分かった。家庭に対する責任感も今までは違うものが生まれた」と育児休暇の意義を語る。「子供の成長を支えるのはとても重要なことだと分かった」など、育児休暇を取ってよかったと語る男性社員は多い。

 ASEでは今後さらに2,000人が育児休暇を申請する予定で、人手不足の問題も生じるが、同社は「申請には必ず許可を出す。休暇を取得した社員の仕事は同様の業務をしている社員たちで補う」と社員の子育てを全面サポートする姿勢で、多くの他の民間企業の社員から羨ましがられているという。

 こうした取り組みは大企業だからこそ可能という面はあるが、今後、会社全体で社員の子育てをバックアップするという企業が増えていけば、台湾の少子化問題の改善にかなりの効果があるのではないだろうか。