ニュース 社会 作成日:2016年9月1日_記事番号:T00066174
食べ物を大切にしようとの考えから、家庭や商店などで余ったり、売れ残ったりした食材や余った料理を入れることができ、誰でも無料で持ち出すことのできる「共有冷蔵庫」が台湾各地の街頭に出現している。
3年ほど前、食品の浪費が問題となったことをきっかけに「共有冷蔵庫」設置が始まったドイツからの語学留学生、ステファン・サイモンさんは、台湾でもこのアイデアを広めたいと考え、冷蔵庫を置かせてもらえる場所を求めて商店などと交渉を始めた。
しかし、交渉は難航した。電気代を負担できないとの理由で多くの商店に断られ続けたが、最終的にようやく台湾大学(台北市大安区)近くで開業しているカフェ「半路咖啡」の店主がサイモンさんの考えに賛同。彼が友人から譲り受けた中古冷蔵庫を店の前に設置することに同意し、8月下旬に運用を開始した。
また台北市万華区で、地域の生活に苦しむ年配者に昼食を提供している「咖啡食堂」でも、9月5日から残った料理を利用して共有冷蔵庫の運用を開始する予定で、これに対し、量販店大手の家楽福(カルフール)が当日売れ残った弁当の提供を申し出ている。
このほか台中市の教会で牧師を務める何志文さんは今年6月、レストランで若者がピザを注文したものの、ほとんど食べずに店を出る場面に遭遇。もったいないと考えた彼は店の同意を得てこれを持ち帰り、障害を持つ女性に提供したところ大変喜ばれたことをきっかけに共有冷蔵庫の設置を思い立った。
その後、インターネット上で冷蔵庫の寄付を募ったところ近くのデザート店が提供を申し出、教会の入り口に設置して24時間運用を開始した。近くの市場の屋台などが善意で売り物の料理の一部を定期的に提供しており、冷蔵庫の利用率は非常に高くなっているという。
各地で増えつつある共有冷蔵庫だが、保存される食べ物を口にした人が体調を崩すといったのトラブルに遭遇した場合の、責任の所在などが問題として浮上している。
設置した店舗が損害保険に加入したり、監視カメラを設置するなどの対策を講じているケースもあるようだ。サイモンさんや何志文さんの場合は、提供者に氏名や連絡先、食べ物を中に入れた日付などの情報を残すよう求めているが、基本的に利用者の良心に委ねる状態となっている。実際にトラブルが起きた際に適切な対応ができるかどうかが存続の鍵を握るといえそうだ。
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