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「台湾米の父」遺品が盗難被害、犯人は骨董品マニア?


ニュース 社会 作成日:2016年9月8日_記事番号:T00066303

「台湾米の父」遺品が盗難被害、犯人は骨董品マニア?

 台湾で70年以上にわたり愛され続けている米の品種、「蓬莱米(台中65号)」を日本統治時代に開発した磯永吉・元台北帝国大学(現・台湾大学)教授を記念して修復、公開されている台湾大学内の実験場(通称・磯小屋)でこのほど、展示されていた同教授の遺品が盗まれるという事件が発生。警察の捜査により逮捕された男は「日本時代の骨董品が好きで自分のものにしたいと思った」などと供述した。

/date/2016/09/08/19microscope_2.jpg遺品が無事に回収できて何よりだった。台湾大学は今後盗難防止対策を施した後で再展示する方針だ(7日=中央社)

 今回盗難に遭ったのは、大正時代に日本で開発された手回し式の「タイガー計算器」、エルンストライツ社製の顕微鏡、米粒の硬度を測る測定器、風速計、革製の巻き尺など7点で、台湾大学によると、「値が付けられない」ほど歴史的価値の高い貴重なものばかりだという。

 特にタイガー計算器は当時、世界で最も精密な計算機としてその名を知られ、台湾には3台しか現存していないという。また顕微鏡も当時の最高水準のもので、ボディー材質には高価な黄銅が採用されている。

 同7点は8月10日早朝に盗難が発覚。警察が周辺エリアの監視カメラを調べたり、骨董品店やインターネット上のオークションサイトなどを監視したところ、暴力団「松聯幫」のメンバーで麻薬使用や窃盗の前科を持つ宋藍田容疑者(50代)が容疑者として浮上。7日に証拠が固まったとして逮捕に至り、盗まれた展示品は7点全て回収された。

 取り調べに対し宋容疑者は「自分は長年の骨董品ファンだ」と主張。「展示物が乱雑に放置され、カビか生えている状況を見て忍びなくなり、自分のものにしようと思い立った」と供述している。しかし「磯小屋」には監視カメラなどセキュリティー設備は設置されていなかったことや、同容疑者が盗みだした品をネットオークションで売却しようとした形跡があることから、磯小屋のセキュリティーの甘さに目をつけた容疑者が手っ取り早く金目の物を盗み出し、金に換えようと考えた可能性が高そうだ。