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最低賃金5%引き上げ決定、産業界の批判押し切る


ニュース その他分野 作成日:2016年9月9日_記事番号:T00066313

最低賃金5%引き上げ決定、産業界の批判押し切る

 基本工資審議委員会(最低賃金審議会)は8日、2017年1月から最低賃金を月給2万1,009台湾元(約6万8,700円)へと現在から5%引き上げることを決定した。市場予想を上回り、過去5年で最大の上げ幅となった。最低時給は133元へと2段階で合計10.8%引き上げる。試算によると、企業の負担は年間220億元増え、特に外国人労働者が多い建設業や、パート・アルバイトが多い飲食業、宿泊業、小売業が大きな影響を受ける見通しだ。会合には使用者側7人のうち5人が欠席して抗議の意を示しており、政府と産業界の信頼関係は崩壊間際といえそうだ。9日付経済日報などが報じた。

/date/2016/09/09/00minimumwage_2.jpg郭労働部長(前)は定足数がそろったと、開会を宣言した(8日=中央社)

 最低賃金の引き上げで、台湾人労働者125万人、外国人労働者37万人、パートタイム労働者39万人の合計201万人が恩恵を受ける見通しだ。雇用主の人件費は220億8,000万元(月給107億7,000万元、時給113億元)増え、政府の負担は10億元、労働者の負担は14億元増える計算だ。労工保険(労働保険)や全民健康保険(健康保険)の負担割合は企業7:政府1:労働者2となっている。

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 今年から法定労働時間を1週40時間に短縮したことを受け、時給は現行の120元から10月より126元、来年1月には133元に引き上げる。引き上げ幅は各5%。

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 郭芳煜労働部長は、最低賃金5%の引き上げは労使双方にとって満足できるものではないが受け入れ可能だと述べた。新政権は労働問題で支持率低下に直面した中、蔡英文総統の選挙公約に沿って最低賃金の大幅引き上げを実現したかったようだ。

予想以上の大幅引き上げ

 労働部は7月下旬にも基本工資審議委員会の会合を開催したが、使用者側の代表者7人が全員欠席したため流会となっていた。8日は、政府と専門家の代表者7人のうち6人、使用者側7人のうち2人、労働者側7人全員と、21人中15人が出席した。

 5%の引き上げ幅に対し、工業区廠商聯合総会の秦嘉鴻理事長は、計算式では今年の引き上げ幅は2%となるため、産業界は3%を提案していたのに、5%の引き上げはやり過ぎだと批判した。労働部は今年3月、消費者物価指数(CPI)上昇率と域内総生産(GDP)成長率を基にした計算式を発表していた。

 使用者側で欠席したのは、大企業が中心の全国工業総会(工総、CNFI)、工商協進会のほか、中小企業が中心の全国中小企業総会(NASME)、輸出が強い電機電子工業同業公会(電電公会、TEEMA)の代表者。

/date/2016/09/09/00demo_2.jpg労働部の前では、教師などが構成する高等教育教育産業公会(THEユニオン)が月給2万8,000元、時給177元を求めて抗議活動を行った(8日=中央社)

【図】