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台風14号南部に爪痕、高雄港でクレーン4台倒壊


ニュース 社会 作成日:2016年9月19日_記事番号:T00066462

台風14号南部に爪痕、高雄港でクレーン4台倒壊

 14日に台湾南西部沖を通過した台風14号(アジア・ムーランティ)によって、最大56メートル以上の暴風に見舞われた高雄港では、台湾国際造船(台船、CSBC)が建造中の台湾最大の貨物船「風明輪」(1万4,000TEU、20フィートコンテナ換算)が同社の2号埠頭(ふとう)から漂流し、港の向かい側で約1キロメートル離れた第6コンテナターミナル101号埠頭(高明埠頭)に衝突した。これにより同埠頭のコンテナクレーン4台が倒壊し、被害額は最低でも10億台湾元(約32億円)と、同港での災害による被害としては過去最悪となった。16日付聯合報などが報じた。

/date/2016/09/19/18typhoon_2.jpg倒壊した大型コンテナクレーンが、大型貨物船衝突の衝撃の強さを物語る(15日=中央社)

 風明輪は台風襲来に備え、直径100ミリメートルのワイヤロープ38本で固定していたが、強烈な風雨によって次々と切れ、漂流を止められなかった。台船の陳豊霖総経理は、台船も高明埠頭も保険に加入しているため、双方の財務に及ぼす影響は大きくないと説明した。

 また、まき網漁船4隻が前鎮区の埠頭から4キロ離れた西子湾に押し流されて岸壁や他の船に衝突、2隻が転覆し、船員1人が死亡した。また、壊れた船からディーゼル油(軽油)10トンが流出し、周辺海域を汚染した。

 金門県でも対岸のアモイから漂流してきた中国の4万トン級貨物船「港泰台州」が同県南西部の浅瀬で座礁し、重油が漏れて海岸を200~300メートルにわたって汚染した。

停電、110万世帯に

 台湾電力(台電、TPC)のまとめによると、暴風雨によって屏東県と高雄市を中心に最大で110万世帯が停電、修復を進めた結果、このうちの98%が17日夜までに電力供給を回復した。屏東県内は電柱380本が倒壊、120本が傾斜し、一部地域で復旧に遅れが出た。また、電力供給の中断により高雄市、屏東県で一時最大で72万世帯が断水したが、17日までに屏東県の一部を除いて復旧した。

 停電の影響で、高雄市の石油化学企業は生産停止を余儀なくされ、中国石油化学工業開発(CPDC、中石化)は被害額が1,926万元に上ったと表明した。李長栄化学工業(LCYケミカル、栄化)は、林園工場、高雄工場、小港工場が稼働を一時停止した影響で、約1,100万元に上る損失を出した。東聯化学(OUCC)、国喬石油化学(グランド・パシフィック・ペトロケミカル)、聯成化学科技(UPC)も被害額が500万元に上った。

農業被害、8億元

 行政院農業委員会のまとめによると、台湾全土の農業被害額は18日までに8億5,129万元に達した。地域別では高雄市が4億8,162万元で全体の56%を占め、次いで屏東県が1億4,738万元、金門県が9,462万元、澎湖県が4,934万元となった。農作物別で最も被害が大きかったのはざくろで、面積1,628ヘクタール、被害額2億5,121万元に上った。次いでナツメが面積645ヘクタール、被害額8,867万元、バナナが面積1,276ヘクタール、被害額8,528万元に及んだ。