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台風の猛威、海中のサンゴも打撃


ニュース 社会 作成日:2016年9月20日_記事番号:T00066487

台風の猛威、海中のサンゴも打撃

 14日に台湾南西部沖を通過した台風14号(アジア名・ムーランティ)によって発生した高波の影響を受け、緑島や蘭嶼といった台東県の離島周辺海域に生息し、ダイバーたちにとってシンボル的存在となっていた珍しいサンゴも被害を受けた。

/date/2016/09/20/20sea_2.jpg「懸念が現実になった」と嘆かれている、大シイタケ(左)と扇状サンゴ(右)(中央社)

 緑島の西側沿岸部、石朗潜水区の水深18メートルの海底には「大香菇(大シイタケ)」と呼ばれる世界最大級の生きたサンゴ塊が存在する。このサンゴ塊は高さが10メートルだが、毎年1センチメートルずつ高くなっており、このことから現在の大きさに生長するまで1,000年以上かかったと推測されている。

 猛烈な台風14号が一過し、波が収まった18日、ダイバーが海に潜って調べたところ、この貴重なサンゴ塊が根本から倒れているところを発見。シイタケの「かさ」に当たる部分が周辺のサンゴの上にぶつかり破片が散乱した状態となっているという。

 台風襲来時、同海域の波の高さは15メートルにも及んだことから、海中のサンゴと言えども影響を免れなかったようだ。ただ倒れてしまったとはいえ、サンゴはまだ生きており、さらに倒れた先は幸いにも同じ種類のサンゴだったため、枯死してしまわぬよう、ダイバーたちが今後飛び散ったかけらの除去など救助作戦を展開する予定だ。

 一方、緑島の南に位置する蘭嶼周辺のダイビングスポットにも、扇状に広がる巨大なヤギ目サンゴが群生し、ダイバーたちの人気を集めている。こちらも現在の姿に成長するまで約1,000年を要したとみられている。しかし昨年9月、この海域に潜った地元のダイビングインストラクターが、サンゴの扇が2枚少なくなっているのに気づいた。同インストラクターによると、このサンゴに寄生する珍しいタツノオトシゴを捕るためにサンゴが折られた可能性があり、蘭嶼の住民たちは知らせを聞いて大変心を痛めたという。

 さらに今回の台風襲来後の19日、サンゴの様子を見るため同インストラクターが海に潜ったところ、全体の3分の1が失われ、破れた扇のような姿になってしまっていた。インストラクターは「波の影響はそれほど大きくなく、人間が手を触れたことでもろくなった可能性が高い」と指摘した。

 台風の力によって自然が姿を変えてしまうのは仕方がないが、1,000年もの年月をかけて成長した生き物を人間が自分勝手な理由で破壊してしまうことには、もっと後ろめたさを感じてもいいはずだ。