ニュース 社会 作成日:2016年10月6日_記事番号:T00066755
「一つの中国」を前提とする「1992年の共通認識(92共識)」を認めない蔡英文政権の発足後、中台関係が急速に冷え込み、中国人観光ツアー客の大幅な減少を招く中、中国の政府系旅行会社が92共識を認める国民党と、その系列の政治家が首長を務める8県市(花蓮県、新竹県、苗栗県、南投県、新北市、台東県、金門県、連江県)のみを巡るツアーを今月中に発売するとの観測が伝えられている。
国民党籍および同党系無所属の県市長ら8人は9月中旬、北京を訪問して国務院台湾事務弁公室(国台弁)の張志軍主任と会談。「92共識を持つ県市との交流」を求め、▽中国企業による8県市の農産品・特産品調達推進▽8県市による旅行推進連合の組織および中国側との連絡窓口開設──などの約束を取り付けた。
これに対し民進党からは「裏切り者」と激しい批判の声が上がったが、傅崐萁花蓮県長らは「3カ月後には今回の訪中の成果が明らかになる」と自信を示していた。
こうした中、中国の旅行会社が販売すると伝えられた「国民党県市ツアー」は、花蓮の太魯閣(タロコ)やアブラギリの花の名所として知られる苗栗県南庄郷などを6日間で巡る内容で、費用は2万元(約6万6,000円)を切る低価格に設定されるという。
観測に対し、連江県や金門県政府から歓迎の声が相次いでいる一方、行政院大陸委員会(陸委会)は、「両岸(中台)は速やかに旅行関連議題において対話を進めるべきだが、政治的な前提条件や地域ごとの差別的な待遇を設けるべきではない」とコメントした。
また民進党が政権を握る高雄市、台南市、屏東県、澎湖県の首長は今週会議を開き、「台湾はさまざまな色を持っており、1種類の色だけを見るのは惜しい」などと指摘した上で、中国政府の意向を比較的受けにくい自由旅行市場の規制緩和を進めるべきと提言した。
林佳龍台中市長(右)も同ツアーに対し、旅行先を首長の所属政党に応じて計画するのは台湾社会の現実に合わないと否定的な反応を見せた(中央社)
ただ8県市のみをめぐる「国民党県市ツアー」では、阿里山(嘉義県)や墾丁(屏東県)、故宮博物院(台北市)、台北101(同)といった人気観光地が組み込まれないことになる。このため、業界関係者からは「売れる可能性は低い」「同ツアーは台湾社会の分裂を狙ったもの」といった声が上がっており、実際に8県市に経済効果がもたらされるかは不透明だ。
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