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アプリで総統専用機の追跡可能、安全保障に懸念の声


ニュース 社会 作成日:2016年10月14日_記事番号:T00066894

アプリで総統専用機の追跡可能、安全保障に懸念の声

 蘋果日報がこのほど、スマートフォン用に市販されている民間航空機の位置情報を確認できるアプリ「フライトレーダー24(FR24)」で総統専用機「空軍一号」を追跡したところ、その飛行状況をタイムリーに捕捉できることが判明。安全保障の上で問題ではないかと指摘する声が上がっている。

/date/2016/10/14/19flightradar_2.pngFR24では、アジア~北米間を結ぶ飛行機の多くがテッド・スティーブンス・アンカレッジ国際空港を中継するようすが分かる(FR24フェイスブックより)

 FR24は航空機の便名、飛行ルート、高度、発着地点などを確認でき、家族や友人などを空港に迎えに行く際に便利なことから人気を博しており、「アップストア」や「グーグルプレイ」といったスマホ用アプリストアで一部機能のみが利用できる無料版、または120台湾元の有料版を誰でもダウンロードすることが可能だ。

 蔡英文総統が演習中の事故で死亡した兵士の追悼式に出席するため、高雄を訪問した先月11日、蘋果日報の記者がFR24を立ち上げ、地図上で台北松山空港を確認すると、そこに3~4機の航空機が待機している様子が見て取れた。しかし、そのうちの1機については「Blocked(閲覧不能)」と表示され、航空会社名や発着地点などの詳細項目に疑問符が並んだことから、同機が「空軍一号」だと推定された。

 記者がアプリでそのまま追跡し続けたところ、同機は午前8時50分ごろに松山空港を出発し、中央山脈、雪霸国家公園、中部各県市の上空を経由して飛行する様子がタイムリーに捕捉でき、高雄国際空港(高雄小港空港)に着陸したことも正確に確認できた。

 これに対し総統府は、航空機には飛行の安全を確保するため敵味方識別装置(IFF)が設置されているが、総統専用機は基本的に機影を確認できるだけで、詳細情報は封鎖されており、安保上の問題はないと説明した。

 悪意ある人物でも「空軍一号」を追跡できるため、総統の詳細なスケジュールを公表することは控えるべきとの声も上がっているが、軍事の専門家も「高度3万フィート以上の上空を飛行する総統専用機をミサイルで撃墜することは容易ではない」と指摘し、アプリで捕捉できることが大きな問題になることはないとの見方を示した。

 ただ一部の専門家は、台湾の総統専用機は米国など他国に比べ、電子対抗手段(ECM)など防衛機能の面で劣っていることは確かであり、今後強化が必要と指摘している。