ニュース 社会 作成日:2017年1月26日_記事番号:T00068752
台東県の離島、蘭嶼に住む原住民、タオ族は「チヌリクラン」と呼ばれるカヌーに似た小型木造舟で漁をすることで知られるが、高雄市の民間企業がこの舟に関連する「新型専利(実用新案)」を申請していたことが明らかとなり、タオ族から「先祖の知恵が盗まれた」などと激しい怒りの声が上がっている。
タオ族の男性は一生に少なくとも1艇はチヌリクランを自らの手で作らなけらればならないとの伝統があり、自分の舟を持たないことは恥とされる。
チヌリクランはくぎを全く使わず21~27枚の木の板を組み合わせ、表面に赤、白、黒の鮮やかな彩色、文様を施した舟で、毎年2~8月のトビウオ漁シーズンが終了した後に制作が行われる。
蘭嶼でも、時代の変化とともに伝統的な意識も薄れてはきているものの、チヌリクランは依然としてタオ族を象徴する文化だと考えられている。
チヌリクランにはタオ族の男たちの誇りが詰まっている(中央社)
しかしこのほど、このタオ族の宝とも言えるチヌリクランに対し、雑貨などを製造、販売する高雄市の民間企業、千益創新が実用新案を申請していたことが明らかとなった。同申請は経済部智慧財産局(知的財産局)によると、千益創新の経営者、龔彬氏など4人を「発明人」として昨年4月に提出され、8月に権利が認められた。
同社は「申請したのは発明特許ではなく、船の構造に関する実用新案で、子供向け教材用の模型を作成することが目的だった」と釈明したが、タオ族からは「これは先祖が残した知恵であり個人の財産ではない。だからこそタオ族の男の大部分はチヌリクランが作れるにもかかわらず特許など誰も申請しない」「しかも構造に間違いがある」などと反論の声が相次いだ。
また原住民の鄭天財立法委員(国民党)は「チヌリクランは1,000年以上続くタオ族の伝統文化であり、智慧財産法の『誰もが知る事物に関しては権利を申請できない』とする規定に反する」と指摘。智慧財産局に認可を取り消すよう要求した。
批判の高まりを受けて千益創新は、事前にタオ族側とコミュニケーションを取らなかったとして謝罪し、必要があれば権利を放棄すると表明した。同社の行為は一族の誇りを部外者がもうけの道具にしようとしたと捉えられかねず、あまりに配慮を欠いたと言わざるを得ない。
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