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CPCが2千億元投資計画、環境重視の方針鮮明


ニュース 石油・化学 作成日:2017年2月10日_記事番号:T00068868

CPCが2千億元投資計画、環境重視の方針鮮明

 台湾中油(CPC)は9日、第3天然ガス(LNG)受け入れ基地や、桃園製油所の重油水素化脱硫(RDS)装置更新などに今後6年で総額2,125億台湾元(約7,800億円)規模の投資を行うと発表した。いずれも計画自体は既に知られており、脱原発推進に伴うLNG安定供給と大気汚染対策の環境重視、および今年を「建設年」と位置付けて取り組む内需振興策の、蔡英文政権の方針を強くアピールすることを狙ったとみられる。10日付工商時報などが報じた。

/date/2017/02/10/00CPC_2.jpg投資計画を発表する陳CPC董事長(中)。蔡政権が政府系企業を通じて脱原発への具体的対応を表明した場となった(9日=中央社)

 LNG関連は、桃園市観音区の観塘工業区での第3受け入れ基地建設(600億8,400万元)、台中工場での3基16万リットル規模の貯蔵タンク設置、およびパイプライン新設で総額837億元と全体の約4割を占める。第3LNG受け入れ基地は今年8月の着工、2023年の稼働を目指す。

/date/2017/02/10/cpc_2.jpg

 蔡政権は脱原発によって25年段階で発電用エネルギーの50%をLNGで賄う目標を立てており、LNGの年間需要は2,300万トンが見込まれる。CPCの昨年の輸入量は1,500万トンで、同社の投資は今後の大幅な需要増に対応するものだ。

「TPCは重複投資」

 CPCのLNGは昨年時点で6割を台湾電力(台電、TPC)に発電用に供給しており、TPCは先日、需要増に向けて安定確保を図るとして台湾域内4カ所目、5カ所目となる受け入れ基地の自社建設方針を表明した。これに対しCPCの陳金徳董事長は、TPCの決定を尊重するとしながらも、CPCの投資のみで台湾全土の需要を賄えるとして、政府系企業が重複投資を行うべきではないと批判した。

 TPC広報は陳董事長の発言に対し、将来的にLNG需要が大幅に増加し、輸入を1社に頼るのはリスクが高く、自社建設によって安全性や信頼性が高まると主張した上で、将来どちらがLNG受け入れ基地を建設するかは経済部の決定を尊重するとコメントした。

 桃園製油所のRDS装置更新には384億6,200万元を投資する。更新によって生産能力は1日当たり7万バレルとなり、燃料油の硫黄含有率が従来の0.5%から0.3%と低下することで行政院環境保護署(環保署)の厳しい基準をクリアし、大気汚染改善につなげる。

スチレンモノマー生産へ

 CPCはまた、スチレンモノマー(SM)生産を手掛ける計画も明らかにした。石化川下分野への進出は初めてで、年産25万トンの工場設立に80億元を投資する予定だ。台湾苯乙烯工業(台湾スチレンモノマー、台湾SM)、または国喬石油化学(グランド・パシフィック・ペトロケミカル)との合弁で実施すると伝えられており、現時点では国喬が選ばれる可能性が高いようだ。CPCの出資比率は最低40%で計画している。

環境アセスが鍵に=聨合報

 今回発表された大規模投資計画について10日付聨合報は、第3LNG受け入れ基地も桃園製油所RDS装置更新もCPCが長年にわたって計画しつつも着手できなかった項目と指摘。先月、台塑集団(台湾プラスチックグループ)第6ナフサ分解プラント(雲林県麦寮郷、通称六軽)第4期のうち、一部計画で環境影響評価(環境アセスメント)のやり直し結論が決まったことを例に挙げ、環境アセスが鍵になるとして、環境保護団体や住民との意思疎通の在り方が2,000億元投資の行方を左右するとの見方を示した。

【表】