ニュース 運輸 作成日:2017年2月13日_記事番号:T00068890
労働基準法(労基法)改正による週休2日制(一例一休)導入で労使双方から不満が相次ぐ中、旅客・貨物運送、物流など交通運輸業者の45.2%が今年求人を行う予定との調査結果が示された。通常の欠員補充に次いで、一例一休による人手不足が理由として多く挙がった。一例一休対策に関する公聴会では、海運業者は天候の影響で入港時間が遅れて積み下ろし担当者に待ち時間が発生しても、公務員のように定刻で帰るわけにはいかないなど、一例一休の問題点が相次いで指摘された。与党民進党の立法委員の一部からは、不合理な部分があればさらなる法改正もやむなしとの意見が出た。11日付中国時報などが報じた。
民進党の鄭宝清立法委員(右2)は、一例一休は業種によって状況が異なるので、例外に対する対応が重要だと述べた(10日=中央社)
求人求職情報サイト大手、1111人力銀行は10日、「交通運輸業の一例一休対策」と題した公聴会を開催し、交通運輸業界関係者、与野党の立法委員などが出席した。
1111人力銀行の李大華副総経理は、交通運輸業界はもともと人手不足だったため、一例一休でシフト編成がますます困難になり、人件費は20~30%増え、会社全体の経営コストは6%増えると試算し、コスト増の一部を運賃に反映せざるを得ないと指摘した。
また、職業ドライバーは体力、気力が必要な上、大型バスの免許取得は難易度が高いため応募者が少なく、これまで長時間労働で対応してきたと説明。一例一休で労働時間が減少すれば、残業代を当てにしていたドライバーが一番の被害者になると指摘した。
1111人力銀行が一例一休導入直後の1月18日~2月8日に電話で交通運輸業者を対象に行ったアンケート調査(有効回答数668件)によると、業者の88%がシフト編成についての対策を取っており、▽制度変更、38.6%▽正社員の雇用増、27.7%▽兼業者による雇用増、19.9%──だった。残り12%は全く対策を取っていない。今年の景気見通しについては、41%が悲観、46%が横ばいで、楽観は13%にすぎなかった。
バス運転手、収入減に直結
公聴会ではバス業界から、法改正前に業界の意見を聞くべきだったと、政府への批判が相次いだ。国光客運の王応傑副董事長は、経営者よりも運転手からの反発が強く、残業で稼ぎたくても稼げないからだと指摘した。台北市の欣欣客運企業公会の高令国理事長は、運転手の給与は労働時間と乗客数で決まるので、乗車時間が短くなれば収入が減るため、やる人がいなくなると懸念を示した。
海運業界では、台湾商港事業発展協会の陳清択秘書長が、埠頭(ふとう)での貨物の積み下ろしは従来、4週間の変形労働時間制で12日連続勤務が可能だったが、一例一休導入で台風などの影響が入港が遅れても「一例(休日出勤を認めない法定休日)」の日は勤務できず、人繰りが付かなくなると問題点を指摘した。こうした人員は専門技術が必要で代わりが効かないので、柔軟な働き方が認められなければ、台湾の海運業界の長期的な発展にマイナスになるとの見方だ。
新労働部長、「まず周知徹底」
公聴会に出席した民進党の林俊憲立法委員は、法改正は問題を解決するために行うもので、問題を生み出すためのものではないと述べ、さらなる法改正の可能性を示した。一方、民進党の柯建銘・立法院議員団総召集人は、さらなる法改正は林美珠・新労働部長の方針次第だと述べるにとどめた。呉秉叡幹事長は、一例一休は導入したばかりで、法改正を検討するには早過ぎ、改正するとしても次回会期になると話した。
野党国民党の陳学聖立法委員は、労使双方だけでなく、消費者、政府の4者の誰にもメリットがないなら、法改正は失敗だったと批判した。
8日に就任した林労働部長は、まず法改正や見直しを語るのでなく、新法はまだよく理解されていないので周知に努めると述べ、現時点では新制度の理解を深めてもらうことが重要との認識を示した。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722