ニュース 社会 作成日:2017年2月16日_記事番号:T00068994
3C(コンピュータ、通信、家電)製品の販売店が数多く出店することで知られる台北市の光華数位新天地(光華商場)周辺エリアには、かつて古書や骨董を扱う市場が存在したことはあまり知られていない。同商圏の中心的存在となっているショッピングモール「光華数位新天地(光華商場)」にも2008年のオープン当時は10店以上の古書店が入居していた。ただその後、経営環境の悪化に伴って閉店が相次ぎ、現在では3店舗を残すのみとなっている。
光華数位新天地の古書店は、終戦後、台湾を離れる日本人が持ち帰ることができない書籍や骨董品を販売するための露店が数多く集まった台北市中正区の牯嶺街をルーツとする。
その後、国民党政府が台湾へ渡ってくると、古書の買い付け先が増え、牯嶺街の古書店街は、周辺の福州街や廈門街まで拡大。70年代半ばにかけて大勢の客でにぎわったという。
1974年、政府は景観を損ねているとして、牯嶺街一体の古書店を全て旧・光華商場の地下に移転させた。しかし、地下は湿気が多く、書籍の保管に向かなかった上、周辺で電子製品の販売店が増えたこともあり、その後、古書店の数は減少の一途をたどることとなった。
3C製品販売に転換
台北市光華商場発展協会の程国慶総幹事は、古書市場自体が縮小していることに加え、光華数位新天地を訪れる客の多くが3C製品を目当てとしているため本を買おうとする客が少ないこと、さらに同施設の店舗は面積が小さいため、販売する書籍の種類も少なく、客の購買意欲をかき立てられないと指摘。現在では閉店した古書店の多くが周囲の店と同様、3C製品の販売に転換しているそうだ。
光華数位新天地3階に店舗を構える創業約60年の古書店「芸園書店」の店主で、子供の頃から父親の代わりに店番をしてきたという陳麒文さんは、「今の若者は本を読まなくなった。本を全て売り終えたら、うちもパソコンを売りたいよ」と嘆いている。
一方、華やかだった牯嶺街時代を知る光華数位新天地2階の「文豪書店」店主、潘炳誠さんは「店の家賃を払えばほとんど利益は出ないが、妻と2人、つつましく暮らしていければ十分」と語っており、できる限り店を続けたいと話している。
残るもう1店、3階の「海川二手書店」の店主も「10冊買い付けて3冊売れればいい方」と厳しい状況を訴る。生き残りをかけてインターネット販売を始めようかと考えたものの、コストが予想以上に高く断念。それでも購買意欲を高めようと定期的に書籍を入れ替えるなど、店を守るため奮闘を続けている。
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