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高雄市議員が資格剝奪、市民の交通違反もみ消しで


ニュース 社会 作成日:2017年2月18日_記事番号:T00069045

高雄市議員が資格剝奪、市民の交通違反もみ消しで

 高雄市の市議会議員が市民の依頼を受けて交通違反をもみ消すよう警察に口利きを行っていたとして起訴された事件の裁判で最高裁は17日、被告に対し懲役1年6月、執行猶予4年、2年間の公権剝奪の有罪判決を言い渡した。これにより同被告は即日、議員資格を失った。

/date/2017/02/18/19lin_2.jpg林氏は人情味があり人望も厚かったとされ、地元では復職を望む声も聞かれる(17日=中央社)

 今回、台湾で初めて交通違反のもみ消しにより有罪判決を受け、失職したのは林武忠・元市議(62、民進党)で、30年以上のキャリアを持つベテラン議員だった。

 判決書によると、林被告は2006年より有権者への奉仕との名目で、信号無視やスピード違反などで検挙された交通違反案件について、車のナンバーや違反の事実を記した資料の廃棄を警察に要求。処分を逃れさせていた。

 これに対し検察は07年9月、違法な口利きを行ったとして捜査に着手し、最終的に同市議らが6万台湾元の罰金処分に相当する計38件の交通違反をもみ消したとして起訴した。

 一審および二審では、林被告が警察に圧力をかけた証拠はないとして無罪とされた。しかし、高等裁判所での上告審では、林被告が警察官に手渡した資料に「ここを塗りつぶしてくれ」といった注記がなされていたことが明らかとなり、警察官が注記は交通違反の資料廃棄を意味すると認めた。さらに林被告の事務所職員も「違法と知りながら、以前より同様の行為を続けていた」と証言。これが決め手となり同被告に有罪が言い渡されることとなった。

 ただ、裁判官は林被告がもみ消し行為をおこなった動機について「口利きは市民サービスの一つという古い時代の間違った考えにとらわれていたため」と指摘。特に見返りなどを受け取っていなかったことなどもあり、執行猶予付きの判決となった。

 政治家が市民の依頼を受けて警察に交通違反のもみ消しを指示するといった行為はこれまで台湾各地で横行していたようで、林被告の起訴は全土のベテラン議員を震え上がらせたという。今回、有罪判決が出たことから、こうした不正は減少していくものとみられる。