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陽明山の大屯火山群、活火山と認定


ニュース 社会 作成日:2017年2月21日_記事番号:T00069097

陽明山の大屯火山群、活火山と認定

 台北市北部の郊外に連なる陽明山の一部を成す「大屯火山群」はこれまで休火山と考えられてきたが、このほど行われた専門家による調査の結果、地下に「マグマだまり」が確認され、同火山群が活火山であることが初めて認定された。この火山が噴火した場合、台北市がマグニチュード6以上の地震に見舞われるほか、新北市に位置する原子力発電所にも影響が及ぶ可能性があるとして懸念が高まっている。

 大屯火山群は大屯山、七星山など20座の火山で形成されており、従来「最後の噴火は約20万年前で、現在は休火山」とするのが学界における定説だった。しかし2009年、研究者が現地の溶岩を調べた結果、最近の噴火は約5,000年前だったことが判明。1万年以内に噴火があったため、活火山とすべきとの見方が強まり、これを認定するためマグマだまりの調査が行われていた。

 そしてこのほど、中央研究院地球科学研究所(地科所)の調査により、新北市金山区および万里区から火山群にかけての地下20キロメートルの深さに、全長15キロ、幅16キロ、厚さ4~10キロ、体積360~900立方キロメートルのマグマだまりが確認された。その面積は台北市の約4分の1の広さに相当するという。

 地科所・大屯山火山観測所の林正洪主任は、火山の噴火は大きく分けて、静かに発生するタイプと爆発を伴うタイプの2種類に分けられ、大屯火山群の場合は後者の可能性が高いと指摘。大規模な噴火が起きれば、時速100キロ以上の速さで火山灰や火山礫(れき)といった砕屑物が噴き出され、周囲数キロ内の動植物は数分内に吹き飛ばされるという。その後、溶岩が流れ出し、直径6.4センチメートル以上の火山岩塊が台北市士林区、北投区などに降り注ぐほか、台湾北部全域が火山灰の影響を受けると予測している。

 次に噴火が起きる時期とその規模について林主任は、「予測困難」とした上で「数十年後、10年後、数年後、いずれの可能性もある」と述べ、いつ噴火が起きても万全の対応が取れるよう、観測網を北部全域に拡大すべきと政府に提言している。