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金門島の海岸、大陸からのごみ漂着が問題に


ニュース 社会 作成日:2017年2月24日_記事番号:T00069185

金門島の海岸、大陸からのごみ漂着が問題に

 中国大陸からわずか2キロメートルの距離にある島々からなる台湾領、金門県には日々、中国からとみられるさまざまなごみが流れ着いている。びんや缶、発泡スチロールといった日常のごみから注射針や化学薬品なども含まれ、海岸を汚染するとして大きな問題となっている。

 金門県の島のうち大金門島北東部に位置する東割湾地区の住民は、「この辺りは大陸(中国)から流れて来るごみがとても多く、清掃員がいくら片付けても追い付かない」とうんざり顔。さらに昨年、同地の海岸で砂の中から棺桶が飛び出しているのが見つかり、「棺桶なんて環境に悪影響を与えるだけでなく、縁起も悪い」と住民たちの不安をかき立てた。

 また同島北西部、金寧郷安岐村の海岸では先ごろ、小型の4WD(四輪駆動)車が、車体が半分ほど砂に埋まった状態で発見された。ナンバーは付いておらず、どこから流れてきた車両かは不明だが、中国で捨てられたものとの見方もあり、金門県環境保護局(環保局)が掘り出した上でエンジン番号を基に持ち主を調査する方針だ。

 金門県の統計(2011~15年)によると、同県海岸に漂着するごみの量は年間平均486トンに上り、積載量の大きいごみ収集車で約50台分に相当するという。大陸からの漂着が多いと考えられることから環保局では今後、中国側と連絡を取り、対策を協議する方針だ。

 一方で、これら多種多様な漂着ごみを活用しようと考えた芸術家が存在する。海岸をよく散歩するという金門県在住の陶芸家、王明宗さんは、海岸に流れ着いたごみを見るたびに心を痛めていたが、ある日「これをうまく利用できないか」と考えた結果、落ちていた発泡スチロールの浮きを持ち帰り、彫刻作品を制作することにした。

 発泡スチロール製の浮きは密度が高く、厚みもあり、彫刻には向いているそうで、第1作のオオカミ像は漂流ごみを使ったとは思えないほど見事な出来栄えとなった。

/date/2017/02/24/19wolf_2.jpg軽い発泡スチロールのごみが、迫力のあるオオカミ像に生まれ変わった(中央社)

 ただ、素晴らしい作品が生まれたとはいえ、周辺住民にとっては今後、王さんが材料調達に困るような状況が理想で、悩ましいところだ。