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台湾語は30年後に消滅?本土派団体が危機感


ニュース 社会 作成日:2017年3月7日_記事番号:T00069324

台湾語は30年後に消滅?本土派団体が危機感

 台湾の有力言語のひとつ、中国福建省をルーツに持つ本省人を中心に使用される、いわゆる台湾語(閩南語、ホーロー語)を話す若者が年々減り続けている現状に、本土派団体などが「台湾語は30年後に消滅する」などと危機感を募らせており、政府に対し台湾語専用テレビチャンネルの開設や台湾語発展委員会の設置、台湾語教師の専任制導入を訴えている。

/date/2017/03/07/19Taiyu_2.jpg公聴会には、産学官から多くの人が訪れた(文化部リリースより)

 1949年に台湾に拠点を移した国民党政府は、中国語(北京語)を「国語」とし、台湾語や客家語、各原住民語といった土着言語の使用を禁止。メディアでも制限が加えられたことから若い世代の間では中国語によるコミュニケーションが中心となり、台湾語を話せない者が増えていった。

 その後民主化が進み、民進党が初めて政権を取った後、01年以降からは、台湾語を含む土着言語が小学校のカリキュラムに組み込まれ、児童が選択して学習することが可能となった。

 しかしいったん定着した中国語の優勢はその後も変わらず、父兄も子供の将来を考慮して中国語や英語での会話を優先することから現在、台北市ではほとんどの児童が片言の台湾語しか話すことができないという。

 こうした状況に危機感を抱く一部の本土派立法委員は今年、言語の多様性を確保すべく「国家語言発展法」の草案を立法院に提出。文化部が4日に開催した第1回の公聴会には各界から200人を超える参加者が集まった。

 その中で文化部の丁暁菁次長は「台湾は豊富な言語を抱える国家だが、歴史的な要因で世代間に言語上の断絶が生まれている」と指摘。「幼いころ、祖父母が慣れ親しんだ台湾語でコミュニケーションが取れなかったことがとても悲しかった」と自らの体験を交え、現状を改善するための政策の必要性を訴えた。

 また、独立派団体「台湾南社」の張復聚社長は、「今の30代は会話に台湾語を使用しておらず、その子供も話せない」と指摘。「あと20~30年もすれば台湾語は消えてしまう」と懸念を示した。

 このほか台湾語文学雑誌「台文通訊」の創刊に関わった鄭良光氏は、中国語を話す族群(エスニックグループ)の平均年収は台湾語を話す族群を20%以上上回っているとのデータを示し、言語にも「移行期の正義」(民主主義体制へ移行する際に、過去に行われた人権侵害、不正義に対する清算、名誉回復、補償などを実現すること)が必要だと訴えた。

 文化部は今後、4月初旬にかけて全土5カ所で公聴会を開催する予定だ。