ニュース その他分野 作成日:2017年9月4日_記事番号:T00072653
財政部は1日、営利事業所得税(法人税)の税率を現行の17%から20%に引き上げ、留保金課税(内部留保への課税)を現行の10%から5%に引き下げることなどを盛り込んだ税制改革案を発表した。産業界は、営利事業所得税率は引き上げても依然日韓を下回るため一定の理解を示したものの、留保金課税を撤廃しなければ、企業の成長が妨げられると反発の声を上げた。企業の税負担が増える一方、総合所得税(個人所得税)は控除額が引き上げられ、納税者の9割近く、500万人余りの税負担が軽減する。過去20年で最大の税制改革は、早ければ来年1月に施行となる見通しだ。4日付経済日報などが報じた。
営利事業所得税は20%に引き上げた後も、香港の16.5%、シンガポールの17%は上回るものの、韓国の22%、日本の23.4%、中国の25%、米国の35%などより低い水準だ。財政部は、国際競争力は維持できると説明した。
中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の許勝雄理事長は、各国が減税によって企業を誘致する中、留保金課税の存続は企業の研究開発(R&D)や設備投資を妨げ、企業の大型化を阻むと反発した。中華民国工商協進会(CNAIC)の林伯豊理事長も、利益剰余金が減った企業は、どうやって投資して成長するのかと批判した。
財政部の許虞哲部長は、税制改革案の目的は▽給与所得者、および低~中所得者の総合所得税負担を軽減すること▽中小企業、ベンチャー企業の税負担を軽減すること▽国際的潮流に合致し、競争力を持つ投資所得税制を構築すること──と説明した。租税の公平負担で、台湾への投資を呼び込み、消費を刺激したいと語った。
ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の張忠謀(モリス・チャン)董事長が先日、留保金課税の撤廃を呼び掛けたことについて許財政部長(写真)は、従来から計画していたことと説明した(1日=中央社)
財政部の試算によると、営利事業所得税の20%への引き上げで税収は654億台湾元(約2,400億円)増え、留保金課税引き下げで税収は328億元減る見通しだ。一方、総合所得税の控除拡大などで、全体では約70億元の税収減となる。
配当所得も減税
税制改革案によると、海外から優秀な人材を呼び込むため、総合所得税は5段階の累進課税に変更し、最高税率を現行の45%から40%に引き下げる。給与所得の標準控除額は現行の9万元から11万元に、特別控除額は現行の12万8,000元から18万元に引き上げる。障害者特別控除額も現行の12万8,000元から18万元に引き上げる。確定申告者542万人が恩恵を受ける見通しだ。
上場株式などの配当所得については、二重課税を解消するための両税合一制度(インピュテーション・システム)を撤廃し、▽甲案、総合所得税を適用(配当所得の63%を所得に組み入れ、最高税率40%)▽乙案、総合所得税を適用(配当所得の8.5%=上限8万元は免税)または申告分離課税(税率26%)──の2つの案を提出した。甲案で税収は59億元、乙案で69億元減る試算で、学者は納税者が減税を実感できると指摘した。
一方、外国人投資家に対する配当所得は現行の控除率20%を21%に引き上げる。
立法院の次会期で審議
財政部は、9月下旬に始まる立法院の次の会期で税制改革案を成立させ、来年から施行し、2019年5月の確定申告から適用することが目標と説明した。
国民党の立法委員は、営利事業所得税を21%に引き上げる代わりに、給与所得の標準控除額は15万元に、特別控除額は20万元に引き上げることを提案している。
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