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パネル大手2社が下半期楽観、スマホ全画面化で需要拡大


ニュース 電子 作成日:2017年9月21日_記事番号:T00072987

パネル大手2社が下半期楽観、スマホ全画面化で需要拡大

 液晶パネル大手、群創光電(イノラックス)の王志超董事長と友達光電(AUO)の彭双浪董事長がそろって下半期の市況に楽観的な見通しを示した。テレビ、ノートパソコン需要が好調な上、スマートフォンは画面アスペクト比18対9の狭額縁設計インフィニティディスプレイの採用率が来年50%まで上昇すると予想され、従来より面積が広がる分、パネル需要を押し上げる見込みだ。イノラックスは中小型パネル生産ラインがフル稼働となっており、来年下半期に苗栗県竹南の第6世代工場でスマホ用パネル生産能力を2万~4万枚増やす計画だ。21日付工商時報などが報じた。

/date/2017/09/21/01panel_2.jpg彭董事長(左)は20日、台湾タッチパネル&光学フィルム展「タッチ台湾」で、自社のテレビ用パネルをアピールした(20日=中央社)

 イノラックスの楊弘文モバイル製品事業群総経理は、下半期は例年スマホ、タブレット端末の需要期で、さらにゲーム機向けなどの需要もよいので、中小型パネル生産ラインがフル稼働になっていると話した。

 イノラックスは竹南の第6世代工場で、従来のテレビ用パネル生産を、IT(情報技術)製品(モニター、ノートPC)向けパネルと中小型パネル生産に切り替え、ボトルネック除去で生産能力を1~2割増やす計画だ。さらに新設備を購入して既存ラインをIPSパネル生産ラインに切り替える。これらにより、生産能力10万~12万枚のうち、2万~4万枚をスマホ用パネルに充てる予定だ。

ミドル~ハイエンド機種に採用

 楊総経理はまた、顧客のスマホブランドがミドル~ハイエンド機種の大部分にアスペクト比18対9インフィニティディスプレイを採用する計画で、来年の普及率は50%に上ると予測した。イノラックスは今年第4四半期から、アスペクト比18対9の5.7インチのインフィニティディスプレイと、アスペクト比18対9の5.99インチの広色域タッチパネルを出荷する。

 アスペクト比18対9のスマホ用パネルは、従来のアスペクト比16対9よりパネル面積が20%広い。また、インフィニティディスプレイの採用によって、パネルサイズが平均0.5インチ拡大する。ただスマホメーカーにとっては、上方にカメラレンズ、センサーなどを搭載するスペースを残したりと、設計上の難易度が上がる。工程が増える分だけ歩留まり率にも影響しやすい。

中国10.5世代工場、来年景気を左右

 AUOの彭董事長は、上半期はスマホブランドで画面アスペクト比18対9のパネル採用が進まなかったが、最近確定したので、出荷が増えていると話した。AUOは18対9パネルを主に中国・江蘇省昆山市のLTPS(低温ポリシリコン)パネル生産ラインで生産している。

 パネル景気は昨年下半期から好転しているものの、今年7月よりパネル価格が下落し始め、先行きを不安視する見方も出ている。これについて彭AUO董事長は、テレビとノートPCブランドが7月末にすぐさま販促キャンペーンを行ったことで、流通在庫が急速に消化され、需要が回復しているので、第3、第4四半期の設備稼働率は高水準を維持できると語った。

 彭董事長は、年内のパネル景気は悪くなく、来年の景気は、問題がうわさされる中国パネルメーカーの新工場が軌道に乗るかによると述べた。

 中国で第10.5世代工場が増えており、AUOも建設しないのかとの質問に対し彭董事長は、第10.5世代工場は1台湾元(約3.7円)の投資に対し生み出す売上高は0.3~0.4元で割に合わないと語った。台湾メーカーは中国や韓国、日本のような政府の強力な支援がないので、AUOは「スマート投資」を追求していると述べた。AUOは毎年100億元を投じて既存の生産ラインの付加価値向上を図ることで、5年で売上高600億元を創出できると語った。