ニュース 電子 作成日:2017年10月3日_記事番号:T00073214
来年6月で引退すると表明した張忠謀(モリス・チャン)台湾積体電路製造(TSMC)董事長(86)は、半導体業界の発展と歩みを共にした半生だった。
張氏は1931年に中国・浙江省寧波市で生まれ、49年に米ハーバード大に留学。マサチューセッツ工科大で修士課程を修了後、55年にシルバニア・エレクトリック・プロダクツに入社し、半導体業界に足を踏み入れた。58年に入社したテキサス・インスツルメンツ(TI)ではグループの副社長にまで昇進したが、83年に退職。電子メーカー、ゼネラル・インストゥルメントの社長を経て、85年には技術官僚出身で行政院長を歴任した孫運璿氏に請われ、台湾の技術革新を担う工業技術研究院(工研院)の院長に就任(88年まで)。87年にTSMCを設立した。
TSMCではTIでの業務経験を生かしてファウンドリー業務のビジネスモデルを導入し、前工程を従来の半導体工場から切り離した。設計と製造の分離は企業の経営負担を軽減するのに大いに役立ち、TSMCはファウンドリー分野で世界のトップ企業へと成長した。TSMCは世界の100大企業に唯一ランクインする台湾企業(45位)で、今年3月には株式時価総額でインテルを超え、名実共に世界最大の半導体企業となった。
後工程参入で一貫サービス提供
TSMCは80年代にインテルから突き付けられた厳しい要求に着実に対応し、受注に成功。飛躍への足掛かりをつかみ、95年には年商10億米ドルを達成。97年にはニューヨークで株式上場を果たした。
経営が軌道に乗ると、張氏は05年に執行長(CEO)のポストをいったん蔡力行氏に譲った。09年には巨額の赤字をかかえ、「PMD」と呼ばれる成果評価制度で従業員の5%を退職に追い込み、企業倫理が問われる場面もあった。そうしたやり方は自身の経営方針に反したため、張氏は09年に再びCEOに復帰した。
11年にはサムスン電子にアップル向けプロセッサーの受注を奪われた。このため、張氏は後工程のパッケージング(封止)業務に参入することを決断。一貫サービスを提供できる体制を取り、アップルからの受注を徐々に回復することに成功した。
張氏は近年、経営の第一線から徐々に退き、来年以降、共同執行長(CEO)の劉徳音氏が董事長を引き継ぎ、魏哲家氏が総裁を務めるという後継体制への布石を敷いた。張氏は引退後、自伝を執筆する計画だという。
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