ニュース 社会 作成日:2017年10月5日_記事番号:T00073264
酒・たばこ類の生産販売を手掛ける公営企業、台湾煙酒(TTL)はこのほど、来年より台湾産たばこの買い取りを行わないとの方針を表明した。これを受けて嘉義県、高雄市、屏東県のたばこ農家が2日に同社や立法院に陳情に訪れ、買い取りを継続するよう抗議を行った。
たばこ農家は、「補助金は不要、栽培の継続を望む」などといったプラカードを持ってデモを行った(中央社)
台湾では約400年前からたばこの栽培が続いており、南投県、嘉義県、高雄市、屏東県、花蓮県が主要産地となっている。
日本統治時代の1920年代には栽培が台湾総督府専売局による許可制となった。戦後、中華民国政府も同様の制度を採用し、69年には作付面積が1万2,000ヘクタール、農家の数は9,200世帯、従事者数は2万人を超えた。
しかし2001年、台湾が世界貿易機関(WTO)に加盟したことをきっかけにたばこの専売制度は廃止され、たばこ農家に他の作物へ転換を促す方針が決まった。
TTLの前身となる政府の専売機関、煙酒公売局は既に93~96年、たばこ農家に対し作付面積1ヘクタール当たり60万台湾元の補償金を支給する転換促進策を実施。さらに同局が会社化された02年にも全てのたばこ農家に同105万元の補助金が支給された結果、たばこの作付面積は現在、100ヘクタール余り、農家の数は228世帯にまで縮小している。
こうした中、TTLたばこ製品事業部の巫鈺箕協理は先ごろ、他の作物への転換を望まない農家による陳情を受け、これまで台湾産たばこの仕入れを継続していたが、昨年8月に行政院で買い取り停止が承認されたことを受け、16~17年期のたばこを最後に今後、仕入れは行わないと説明した。
なお台湾産たばこについて行政院農業委員会(農委会)農糧署の翁震炘主任秘書は、品質が悪い上、葉タバコの収穫には大量の人手を要するためコストが高く、外国産との競争で生き残ることは難しいとの見方を示している。
しかし抗議の声を上げる台湾のたばこ農家は「われわれのたばこの品質が悪いはずがない。不要になったからそう言っているだけだ」と反論。労働権と生存権を求め、争う姿勢を示している。
抗議者の中には一生の大半をたばこ栽培にささげた82歳の女性の姿もあり、彼女はTTLの決定で自分の人生を否定された気持ちになったのかもしれない。しかしたばこ排除がますます進む時代背景の中、決定が覆る見込みはなさそうだ。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722