行政院は25日、住宅の屋上に太陽光発電システムを設置する費用の40％を補助することなどを盛り込んだ、全市民参加型太陽光発電アクションプランを承認した。補助金支給の期間は来年元日から３年間。これにより、屋上設置３ギガワット（GW）の達成目標時期を2020年へと５年前倒しした。売電収入の誘引で市民の設置意欲を刺激できれば、太陽光発電の普及に大きく弾みが付きそうだ。26日付工商時報などが報じた。

住宅などの屋上への太陽光発電システム設置は、工場と違い、市民にエネルギー転換プロジェクトに参加する実感を与えられる（25日＝中央社）

　蔡英文政権は25年の脱原発目標に向け、再生エネルギーの電源構成20％を目指している。太陽光発電の設置容量目標は屋上３GW、地上17GWで合計20GWだ。

　全市民参加型太陽光発電アクションプランによると、設置容量目標３GWのうち、マンションなど住宅の屋上が1.765GW、農業施設や工場の屋上は1.235GW。へき地の民間発電所の屋上への設置には補助金50％、運転費用に最高60万元を支給する。３GWの設置目標を達成すれば、台中火力発電所の発電機６基分に相当する。沈栄津経済部長は、予算に関しては今後１週間以内に発表すると述べた。

１週間で設置完了

　経済部能源局（エネルギー局）の陳崇憲技術組長は、太陽光発電の住宅屋上への設置費用は１キロワット（kW）当たり６万元で、補助金は２万4,000元と説明した。もし面積10坪に３kWの太陽光発電を設置する場合、設置工事は１週間で完了すると話した。太陽光発電の買取価格は来年、１キロワット時（kWh）4.4～6.1元へと昨年比で５％引き下げる予定なので、今年中に設置を終えた方が有利だと述べた。

　台南市安南区のマンション「人間清境」では全130世帯のうち58世帯が太陽光パネルを設置しており、台湾最大規模だ。コストは１世帯当たり平均100万元で、月１万元以上の売電収入を得ている。こうした実績に対し、市民からは「銀行の預金金利より割がよい」といった声も聞かれる。

工場への設置義務化

　工場について経済部は、電力の契約容量800kW以上の大口利用者の場合、屋上への太陽光発電システム設置、または再生可能エネルギーの購入を義務化する。経済部能源局関係者は、再生エネルギー発展条例に明文化する予定で、各地方政府が自治条例を定めて執行すると説明した。現在、台北市、桃園市、台中市、台南市、高雄市に同様の規定があるので、全土で統一すれば、市場が拡大すると話した。

　また、工業区、加工出口区（輸出加工区）、科学園区などの工業団地の工場の屋上にも、太陽光発電システムの設置を求める。まず来年、▽南部科学工業園区（南科）台南園区▽彰化浜海工業区▽林園工業区（高雄市）▽海湖坑口工業区（桃園市）──を分散型電源のモデル拠点とし、19年から本格的に推進する。万一の停電に備え、台湾電力（台電、ＴＰＣ）への電力依存度が高い現状を打破する狙いだ。

産業界に商機

　太陽電池最大手、茂迪（モテック・インダストリーズ）は、住宅の屋上への太陽光パネル設置は面積が小さいので、中小メーカーにとってチャンスだと指摘した。昇陽光電科技（ソーラーテック・エナジー）は、太陽電池産業に恩恵をもたらす政策だと歓迎した。

頼清徳行政院長は、25年の脱原発目標の達成に自信を示した（25日＝中央社）

　行政院が16年７月に定めた太陽光発電２カ年計画によると、今年６月時点で屋上設置の実績は512.39メガワット（MW）と目標の410MWを上回った。住宅や商業施設の屋上への設置も目標を91％上回った。地上設置は目標240MWに対し、実績45.72MWと達成率は８％にとどまっている。