ニュース その他分野 作成日:2017年10月30日_記事番号:T00073633
一例一休(週休2日制)に関する労働基準法(労基法)改正の行政院案がまとまり、年内にも法改正が行われる可能性が出てきた。企業の不満が高かった7日連続勤務の禁止が撤廃され、最大で12日連続勤務が可能になる他、休息日(所定休日)の時間外労働手当を4時間単位で計算する規定が撤廃される見通しだ。産業界は歓迎ムードだが、労働団体は、労働環境の悪化につながる改悪だとして反発している。30日付経済日報などが報じた。
青年団体は29日、総統府の前で抗議活動を行い、一例一休を改悪すれば労働者は過労になる、削減した国定休日7日を返せと訴えた(29日=中央社)
労働部はあす31日にも改正案を公表し、各界から意見を募った上で11月6日に行政院と立法院の調整会合を行い、9日に行政院会議(閣議)で承認を受け、立法院の審議に付す予定だ。年内の法改正実現を目指す。
行政院案では、昨年6月の解釈例による7日連続勤務の禁止に対し、シフトが組みにくくなったとの企業の不満の声を受け、労基法自体に14日ごとに4日の休日を付与する内容を盛り込む。これにより労使の合意があれば例仮(法定休日)を移動させ、最大で12日連続勤務が可能になる。
労働部労働条件及就業平等司の黄維琛副司長は、多数派の意見を取り入れ、現行の制度より柔軟性を持たせたと説明した。
このほか行政院案では、時間外労働時間について▽所定休日の時間外労働手当を4時間単位でなく、実労働時間で計算する──の他、時間外労働時間の上限規制を▽甲案・労使の合意があれば、月46時間から54時間に引き上げ可能▽乙案・3カ月で138時間とし、月54時間を超えても構わない──の2案を挙げた。
また、特別休暇(有給休暇)は1年繰り越しを認める。シフト勤務に連続11時間の休憩時間を与える「勤務間インターバル制度」はまだ施行されていないが、▽甲案・原則11時間、労使の合意があれば8時間まで縮小可能▽乙案・原則8時間、労使の合意があれば11時間まで拡大可能──とした。
産業界、おおむね賛同
産業界は行政院の改正案について、業界によってはニーズに合致していないとしながらも、大方受け入れ可能としている。
中華民国全国商業総会(商総)の頼正鎰理事長は、所定休日の時間外労働手当の実労働時間での計算は望んでいた内容だと評価。時間外労働時間の上限については、サービス業では月60時間でも足りず、半年単位の上限規制を希望すると述べた。
中華民国全国工業総会(工総、CNFI)の蔡練生秘書長は、有給休暇の繰り越し可能は期待していた通りと述べた。ただ、労働者が取得日を一方的に決めるのでなく労使合意としなければ、長栄航空(エバー航空)が客室乗務員の集団休暇で大規模欠航を招いたように、ボイコットの手段に使われたり、中小企業では3~5人の休暇取得で仕事が回らなくなると指摘した。
労働団体、「当初目的に反する」
一方、労働団体の全国産業総工会の戴国栄秘書長は、12日連続勤務を可能にすることで企業が時間外労働手当を削減できる一方、特に飲食業や観光業の労働者の過労が増えると予想され、労働条件を悪化させる法改正は受け入れられないと述べた。もともと7日連続勤務の禁止は完全週休2日制への経過措置の位置付けで、これを撤廃すれば昨年の労基法改正の目的に反すると批判した。
ある労働者は、労基法の改正で労働者の権益を守るはずが、産業界から不満が出れば施行1年足らずで改正するのかと不満を示した。
台湾のコンサルティングファーム初のISO27001(情報セキュリティ管理の国際資格)を取得しております。情報を扱うサービスだからこそ、お客様の大切な情報を高い情報管理手法に則りお預かりいたします。
ワイズコンサルティンググループ
威志企管顧問股份有限公司
Y's consulting.co.,ltd
中華民国台北市中正区襄陽路9号8F
TEL:+886-2-2381-9711
FAX:+886-2-2381-9722