ニュース その他分野 作成日:2017年11月10日_記事番号:T00073887
頼清徳行政院長は10日、産業界を取り巻く「5つの不足」(水、電力、土地、労働力、人材)の解決策をめぐる最後の記者会見で、労働力と人材の不足に関する対策を発表した。産業界が直面する人材不足は、台湾で人材の活躍機会が限られていること、低賃金、各国による人材引き抜き、産業と教育現場での人材育成ミスマッチなど複合的な要因がある。対策はそうした問題点の改善を目指すものだ。
頼行政院長は、中・大企業の初任給が3万元なら低過ぎると指摘した(10日=中央社)
頼行政院長はキーワードとして、「人材の流出防止(留才)」「人材誘致(攬才)」「人材育成(育才)」の3項目を挙げ、合計21項目の対策を講じると説明した。
所得税の最高税率引き下げ
行政院は人材の流出防止策として、▽総合所得税(個人所得税)の最高税率を45%から40%に引き下げ、単独出資事業やパートナーシップの利益に関しては、営利事業所得税(法人税)を課税せず、総合所得税を課税する▽従業員への株式現物支給への課税(現行5年間の課税猶予)について、譲渡時までの課税猶予を選択可能にする▽技術による現物出資で取得した株式に譲渡時までの課税猶予を認める▽有限責任パートナーシップについて、一定条件を満たす場合、二重課税を回避するため、営利事業所得税を課税せず、パートナーに総合所得税を課税する「透視個体概念」による課税を行う──などの対策を講じる。
ほかに、▽エンジェル投資家が単一の企業に100万台湾元(約380万円)以上を投資する場合、投資額の半額を総合所得税(個人所得税)から控除(毎年上限300万元)できるようにする▽青年起業優遇ローン、行政院国家発展基金(国発基金)による10億元規模の起業エンジェル投資プラン、起業基地とワンストップ窓口の開設などで起業しやすい環境を整える▽従業員報奨の支給対象を親会社や従属会社の従業員も含める──などがある。
新南向政策・5プラス2産業を支援
人材誘致に向けては、▽外国人専門人材誘致・雇用法による居留期限などの緩和▽経済部による外国人材誘致サイト「コンタクト台湾」の強化▽入出国・移民法の改正により、無国籍の中華民国国民の入国申請を免除、海外で生まれた中華民国国籍者の子女の定住申請の年齢制限(20歳未満)を撤廃▽華僑・外国人留学生の卒業後の求職のための居留期限を6カ月から1年に延長──。
また、▽新南向政策の対象国への進出企業が現地人幹部を台湾に異動させたり、研修を受けさせたりする上での規制緩和▽政策的に支援する「5プラス2」産業の外国人専門人材雇用に際し、資本金、売上高の規制を撤廃する▽帰国子女対策として公立学校にバイリンガル実験クラスを設置──などの対策を掲げた。
AI人材養成も
人材育成に関しては、▽産学連携の強化による人材育成と産業の需要に対応した関連学科の募集増員▽企業が教育現場に指導者、教材、設備を提供する教育協力▽業界団体が産業の必要人材を整理し、政府によるマッチングシステムを通じ、教育現場で将来人材を育成する▽産業人材能力の認証制度拡大──。
さらに、▽大学による人工知能(AI)人材養成に加え、企業にAI研究開発センターの設置を奨励し、2021年までにスマート科技の高度研究人材を1,000人以上養成する▽AIなどスマート科学技術関連の人材を年間5,000人養成する▽学校に「第2の特技」「技能向上」課程を新設し、イノベーション産業に就職しやすくする──などを盛り込んだ。
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