ニュース 社会 作成日:2017年11月16日_記事番号:T00073995
台湾で販売される、海苔(のり)を使ったスナック類に最近、アーモンドを挟んだり、油で揚げたもの、細切れになったタイプの商品が増えていることにお気付きだろうか。これは地球温暖化や海洋汚染の影響で海藻類の成長が遅れ、供給不足となっていることが背景にある。メーカーではコストがこの10年で2倍に上昇し、他の食品と組み合わせたり、調理法を工夫することで「かさ増し」をせざるを得ない状況に追い込まれている。
台湾で販売されるのり食品の多くは韓国産や中国産で、台湾で簡単な加工を施したものだが、大手食品メーカーの聯華食品工業によると、両国とも海水温の上昇と沿岸地域の海洋汚染により、のりの原料とすることが可能な海藻の生産量が減少しているという。同社では商品の安全性を確保するため、韓国の汚染されていない海域で生産されたものを調達しているが、価格は年々上昇が続いているそうだ。
こうした中、台湾の大手のり食品メーカーは小幅な値上げによってコスト上昇を反映させているが、その他の受託生産メーカーではのりの使用量を抑え、かつ新しい味覚を備えた商品を数多く開発することで対応している。
彰化師範大学・生物学系の王瑋龍教授によると、のりの原料となる海藻にとって成長に適した海水温は18~20度で、水温が上昇すれば成長が遅くなるという。また地球温暖化により北極の氷が溶け、海の塩分濃度が低下することものりの生育環境に影響を及ぼすそうだ。
なお台湾でも、天然ののりが採れることで知られ、全土で唯一の保護区に指定されている澎湖諸島の小島、姑婆嶼でも今年、昨年の暖冬の影響で生産量が激減している。
さらに海洋大学・海洋生物研究所の林綉美教授によると、基隆市の「潮境公園」周辺の沿岸部では温暖化と海洋汚染により、海藻の被覆率がここ10年で半分に落ち込んでおり、他の生物にも影響が及ぶとの懸念が浮上している。
のりが食べられなくなるくらいなら大した問題ではないと思われがちだが、これは前触れにすぎず、今後、さまざまな影響が出てくる可能性もある。できるだけ環境に優しい生活を心掛けたいものだ。
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