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TSMC南京工場、量産を来年5月に前倒し


ニュース 電子 作成日:2017年12月8日_記事番号:T00074385

TSMC南京工場、量産を来年5月に前倒し

 ファウンドリー最大手、台湾積体電路製造(TSMC)の劉徳音(マーク・リュウ)共同執行長(CEO、次期董事長)は7日、顧客の需要が非常に強いため、中国・南京市の12インチウエハー工場で来年5月から出荷を開始すると述べた。当初予定より約半年早まり、中国初の16ナノメートル製造プロセス量産拠点となる。業界関係者は、急速に台頭する中国半導体市場で先行メリットを享受し、巨大な商機を獲得すると予想した。8日付経済日報などが報じた。

/date/2017/12/08/00tsmc_2.jpg劉共同執行長は、昨年は顧客470社の9,200種類の製品をウエハー1,100万枚分生産したと述べ、協力メーカーに感謝の意を示した(7日=中央社)

 劉共同執行長は、TSMCのサプライチェーン・マネジメント・フォーラムで、これらロードマップを説明した。

 南京工場は、16ナノ立体トランジスタ(FinFET、フィン型電界効果トランジスタ)プロセスで、月産能力2万枚の計画だ。劉共同執行長は、南京に設計サービスセンターも設立し、現地の顧客に対応すると述べた。

 南京工場の投資額は最大30億米ドルで、台湾企業として過去最大規模の中国投資だ。張忠謀(モリス・チャン)董事長はこれまでに、中国初の16ナノ量産拠点として、中国のファウンドリーの水準を引き上げ、中台提携が緊密化すると語っている。

7ナノ生産開始

 劉共同執行長は、7ナノプロセスは新竹科学工業園区(竹科)Fab12で生産を開始しているほか、中部科学工業園区(中科)Fab15の第5~6期で生産する予定で、中科Fab15は第7期拡張も予定していると説明した。劉共同執行長はまた、7ナノプロセスは顧客40社以上の採用が決まっており、来年フル稼働になると見通しを示した。

 5ナノプロセスでは、来年南部科学工業園区(南科)Fab18を着工し、2019年上半期にリスク生産(試験的な生産)を行う予定で、EUV(極端紫外線)リソグラフィー技術を導入する。設備業者によると、月産能力は10万枚、投資額は4,000億~5,000億台湾元(約1兆5,000億~1兆9,000億円)。

 3ナノプロセスでは、20年に南科で工場を建設する予定で、投資額は200億米ドルを超える。量産は22年の予定だ。

 TSMCは従来、受注が確定してから工場を拡張する傾向があるため、5ナノと3ナノで1兆元を越える大規模投資から、今後5年の売上高、利益が過去最高を更新し続けると予想されている。

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AIと5G、先進プロセス需要増

 劉共同執行長は、AI(人工知能)と第5世代移動通信規格(5G)は7ナノ以降の先進プロセスが必要で、TSMCに力強い成長をもたらすと述べた。

 劉共同執行長は、スマートフォン3億台以上に既にニューラルネットワーク(神経回路網、NN)が採用されるなどAIの応用が広がっているほか、5Gでデバイス間の連結や通話が加速し、スマート化が進むと述べた。5Gは19年に商用化すると、市場調査会社より1年早い予想を示した。

 劉共同執行長はさらに、AIと5Gは、TSMCが2年かけて構築した▽スマートフォン▽高性能計算(ハイパフォーマンスコンピューティング、HPC)▽IoT(モノのインターネット)▽カーエレクトロニクス──の4つのプラットフォームで発展すると語った。

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