ニュース 社会 作成日:2017年12月12日_記事番号:T00074458
邱千芳さんは7年前、123年の歴史を持つ台湾鉄路(台鉄)で初めての女性運転士となるという夢をかなえた。ところが、男社会の中に飛び込んだ彼女を待ち受けていたのは、女性には過酷な勤務や同僚からの差別的な反応だった。一度は辞めてしまおうと考えたが、努力を重ねて逆境を乗り越え、今では同僚からの信頼を得るまでに成長。今週は念願の結婚式を予定しており私生活も順調だ。
かつて台鉄では、車両の点検・修理、運転を担う「機務部門」に所属する者だけが運転士となる試験を受けることが許されていた。しかし2010年、大量退職に伴い運転士不足が生じたことを受けて規定が緩和され、工務部門と電務部門の職員も受験が可能となり、当時、電気関係の業務に就いていた27歳の邱さんにも運転士になる夢をかなえるチャンスが生まれた。
運転士試験では「握力35キログラム以上」など厳しい体力測定が課せられるが、邱さんはこれを見事突破。女性に対しては100年以上にわたり固く閉ざされてきた運転士への重い扉をこじ開けることに成功した。
しかし彼女にとっては実際に業務に就いてからが本当の困難の始まりだった。新人運転士は通常、夜の便を担当させられることが多く、昼夜が逆転した生活に体がなじめなかったほか、運転士が不足していたため、生理などの際も急に休むことは許されず、痛みを押して勤務することとなった。
それでも邱さんは、女性であることを理由に特別待遇は受けたくないと考え、体調不良を漢方薬や運動で体を鍛えることによって克服。自ら早番、遅番を買って出た。
彼女にとってもよりつらかったのは男性の同僚たちの反応だった。業務でちょっとしたミスをしたり、昇給の機会が訪れた際には理不尽な批判を受けたこともあったそうで、一時は辞職も頭をよぎったという。
しかし負けず嫌いの彼女は「1人で運転席に座り、自分の手で列車を走らせる」という夢をあきらめきれず奮起。次々と運転士としてのライセンスを取得していった。彼女は当時のことを振り返り、「同僚から疎まれるほど、成長してやろうという気持ちが強くなった」と語る。
かつて邱さんのことを快く思っていなかった同僚は、その成長ぶりには驚きを隠せなかったらしいが、彼女は今やすっかり一人前の存在となり、違和感が持たれることもなくなったという。そんな彼女の活躍もあって、台鉄では第2、第3の女性運転士が誕生している。
なお邱さんは今週、かねてから交際していた高校教師の王界明さんと結婚式を挙げる。週末になるたび、邱さんが運転する列車に乗るため花蓮まで足を運ぶという生活を続けてきた王さんは「彼女は台鉄の誇り」と自慢げに話す。そんな新郎の理解もあり、邱さんは結婚後も乗務を続ける考えだ。
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