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「ミシュランシェフのディナー」、経歴詐称の疑い


ニュース 社会 作成日:2017年12月13日_記事番号:T00074484

「ミシュランシェフのディナー」、経歴詐称の疑い

 高雄市の高級ホテルで昨年、「ミシュランガイド」で星認定のドイツのレストランを経験したシェフの料理をうたうディナーイベントが開催された。しかし今年になってこのシェフは、当のレストランでアルバイトで短期間働いただけという事実が判明。ホテルは昨年のイベント中の来店者に対し、返金を余儀なくされる事態となった。

 ドイツ人シェフ、ウラジミール・ケラー氏は昨年、台湾人の恋人に会うために来台し、台中市の逢甲夜市(ナイトマーケット)で自作料理を販売していたところ、ミシュランガイドで星認定を獲得したレストラン「Kochu Karu」で働いていたという経歴が話題となり、多くのメディアで取り上げられた。

 そんなケラー氏に目を付けた高雄市の「ホテル・WO(窩)」は、同氏を招いて館内のレストランで同年12月12日から18日の1週間、「ミシュランウィーク」と銘打ったディナーイベントを開催した。提供した料理の価格は780~1,780台湾元(約3,000~6,700円)で、期間中客は50人程度しか集まらなかったものの、材料費とホテルの取り分の10%を差し引いた売上高は全額ケラー氏が受け取ったという。

 またホテルはケラー氏と恋人に部屋と食事を提供したが、イベント終了後、2人は外部のレストランを利用した際のレシートを示して支払いを要求。ホテルが拒否すると、今年6月、ケラー氏から約120万元の賠償金を要求する内容証明郵便が送られてきたという。

 ところが最近になってケラー氏のキャリアに疑問を抱いたネットユーザーが「Kochu Karu」に問い合わせたところ、彼は同店の正式なシェフではなく、2015年の3~4月の2カ月間、アルバイトとして計45時間働いただけだったことが判明。「ミシュランシェフ」の肩書を宣伝に利用していたことに批判が高まっている。

 これを受けてケラー氏の恋人、荘晏瑋氏は「彼は自らミシュランシェフと名乗ったことはことはなく、ホテルにも明確に説明していた」と反論した。しかし昨年、ケラー氏を特集したテレビ番組に出演した際、「彼はミシュランレストランでシェフとして働いていたのか」という司会者の質問に、荘氏はうなずいて「ええ」と答えていた。

 またホテル・WOマーケティング部門の蔡至傑経理も、「メディアでの報道を見て話題作りのために招聘したが、ケラー氏からミシュランレストランのシェフではないとの説明は受けなかった」と説明。ただ、慎重な身分照会を怠り、宣伝に「ミシュラン」を使用したと誤りを認め、当時の来店者に料金を全額返還すると表明した。

 ケラー氏が夜市で活動していた際に掲げた自作の看板には、確かに「ミシュラン」の文字は記されておらず、荘氏が自慢の恋人をよく見せようと話を誇張していた可能性もある。一概に2人を「詐欺師」と責めることはできないが、少なくとも彼を招聘したホテルは十分な事前調査を行うべきだったと言えよう。