ニュース 自動車・二輪車 作成日:2017年12月22日_記事番号:T00074641
行政院は21日、2040年からガソリン・ディーゼル車の販売を禁止すると発表した。30年から路線バスと公用車の新規購入を全面電動化し、35年からガソリンバイクの販売を禁止する。頼清徳行政院長は、大気汚染対策の一環として、世界の流れに乗りつつ、台湾産業の安定した発展を考慮した目標だと説明した。自動車・バイク業界は、急過ぎるスケジュールで、台湾生産のサプライチェーンが崩壊すると懸念を示した他、世界各国に倣い、補完措置を導入するよう要望した。22日付経済日報などが報じた。
頼行政院長は、台湾産業が国際トレンドにうまく乗れば、目標を前倒しで達成できると述べた(行政院リリースより)
行政院は同日、「大気汚染防止アクションプラン」を閣議決定した。4つの具体目標として、▽19年・大気汚染の指標、空気質指数(AQI)の「赤」(指数151~200・全ての人にとって不良)の日数を15年の半分にする▽30年・新規購入する公用車や路線バスを全面電動化する▽35年・新規販売するバイクを全面電動化する▽40年・新規販売する自動車を全面電動化する──を掲げた。
英国、フランスも40年のガソリン・ディーゼル車販売禁止目標を発表している。ドイツやインド、ベトナム・ハノイは30年、オランダやノルウェーは25年が目標だ。
張景森政務委員は、電動車は20~35年に技術的なボトルネックが解消できる見通しで、ガソリン車より競争力が高まるとの見方を示した。賀陳旦交通部長は、明確な目標を示していない国も多いが、台湾は生産と利用の両面でバイク大国なので、大気汚染排出削減に責任があると述べた。
「大気汚染防止アクションプラン」では、大気汚染物質の発生源のうち移動発生源に関して、自動車とバイクの電動化の他、19年に2ストロークエンジン(2スト)バイクの全面廃車目標を掲げた。固定発生源に関しては、▽台湾中油(中油、CPC)▽台湾電力(台電、TPC)▽中国鋼鉄(CSC)▽中龍鋼鉄(ドラゴン・スチール)──など公営事業に対する大気汚染物質の排出量規制や、毎年10月~翌年2月の発電所の出力制御などを行う。
開発コストが重荷=中華汽車
中華汽車工業(チャイナ・モーター、CMC)は、電気自動車(EV)を開発しようにも、新車開発は1台当たり10億台湾元(約38億円)かかるが、台湾は市場規模が小さく、小型車1モデル当たり1カ月平均で300台しか売れないので、開発コストを回収できないと指摘。将来、台湾メーカーの開発した車両や台湾生産車がなくなってしまうと懸念を示した。
台湾区車両工業同業公会(車両公会、TTVMA)は、世界各国はガソリン車販売禁止の目標設定と同時に、▽急速充電ステーションなどインフラ整備▽廃車による電動車への買い替えの補助金支給▽電気自動車(EV)を含む新エネルギー車の産業発展政策──など、補完措置を用意していると指摘。台湾政府には補完措置が欠けており、これでは産業界は支持できないと表明した。
ガソリンバイク、税徴収再開か
交通部は、ガソリンバイクから電動バイクへの買い替えを促進するため、排気量150cc以下のバイクに対する軽自動車税(牌照税、ナンバープレート税)の徴収再開を検討する。昨年末時点で、台湾のバイク台数は1,375万台で、うち51~150ccが1,306万台を占める。150cc以下のバイクは低中所得者の利用が中心との理由で、95年より軽自動車税が免除されていた。
賀交通部長は、電動バイクへの転換が早ければ、海外市場の開拓にも有利になると指摘した。
バイク大手の光陽工業(KYMCO、キムコ)、三陽工業(SYM)は現在、年間200万台以上を生産し、うち6割を輸出している。各社は、電動バイクの普及に伴う、ガソリンバイクの市場規模縮小による競争力低下に懸念を示した他、電動バイク参入が遅れれば商機を逃してしまうことや、バッテリー方式の選択を見誤るリスクに不安感を示した。
台湾では、電動バイク最大手、睿能創意(Gogoro台湾)の「Gogoro」がバッテリー交換式、中華汽車の「emoving」がバッテリー充電式を採用している。
電動バス大手、「規制緩和を」
張政務委員は、中央政府の公用車は毎年500~600台を買い替えており、電動車は高価なのでリースも検討すると話した。
賀交通部長は、路線バスへの電動バス(EVバス)導入には1台700万~1,000万元かかるので、補助金を1台当たり400万~600万元支給する他、優遇ローンの提供などで支援したいと語った。
電動バス最大手、凱勝緑能科技(KGET)や華徳動能科技(RAC EV)などは歓迎ムードだ。ただ、KGETの劉弘麟執行副総経理は、14年時点で今後10年に電動バス1万台の目標を設定したのに、その3年後に運行中の電動バスは257台しかないと指摘した。このペースでは目標達成が困難だとして、▽台湾製部品の使用比率70%の規制をいったん撤廃する▽低床(ノンステップ)電動バスしか補助金を申請できないが、高床の電動バスにも補助金を支給する──などを提言した。
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