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海抜2千メートルの診療所、4人の医師が支える


ニュース 社会 作成日:2017年12月22日_記事番号:T00074664

海抜2千メートルの診療所、4人の医師が支える

 台湾中部、南投県や花蓮県などとの県境にほど近い山間部の海抜2,000メートル地点にある診療所「梨山衛生所」(台中市和平区梨山里)では、医療資源の乏しい遠隔地の住民に診療行為を提供するため、4人の医師が奮闘している。

 梨山衛生所には家庭医学を専門とする姜明凱主任以下、外科医、内科医、歯科医各1人に加え、薬剤師や看護師を含め24人体制を敷いており、規模としては台湾最大の衛生所となっている。

 しかし十分な医療設備がないほか、地元住民は緊急事態にならない限り、病院には行かない傾向があるため、対応が困難な重篤患者を車で2時間かけて設備の整った平地の病院に運ぶといったケースも多いようだ。

 梨山衛生所に7年前から勤務する姜主任は、赴任当初は山での生活につまらなさを感じ、診察の際に患者とのおしゃべりが毎日の楽しみだったと語る。そんな彼は、地元住民の紹介で先住民、タイヤル族の女性と知り合い結婚。自ら地元民となったことで、自然と仕事にもやりがいを感じるようになったそうだ。

 姜主任の妻は現在、夫に家庭の心配をさせないようにと衛生所から約150キロメートル離れた台中市の平地、南屯区に子供と暮らしている。10日間勤務した後、下山して4日間父親として過ごす生活を続ける姜主任は「軍隊に入っているのと変わらない」と話すが、その顔には満足そうな笑みが広がっている。

 一方、歯科医の蔡栄発医師は48歳の時、子供も成長して経済的な不安もなく、妻も自分の生活を持っていることから、それまで勤めていた国軍台中総医院を辞め、梨山衛生所に単身赴任することを決意した。以来、日曜日になると妻が用意し、冷凍しておいた料理を持って山に入り、食料が尽きる金曜日になると、山で採れた野菜を持って帰宅するという暮らしが続いている。

 なお梨山里で最初の歯科医となった蔡医師の元には、地元だけでなく花蓮や南投県、さらには宜蘭県からも患者がやってくるそうで「台湾で最も広い管轄エリアを持つ歯科医」と呼ばれている。現在60代の彼は「道具が動かせる限りここで働くよ」と語っている。