ワイズコンサルティング・グループ

HOME サービス紹介 コラム グループ概要 採用情報 お問い合わせ 日本人にPR

コンサルティング リサーチ セミナー 経済ニュース 労務顧問 IT 飲食店情報

新パスポートに米空港デザイン、20万部回収へ


ニュース 社会 作成日:2017年12月27日_記事番号:T00074744

新パスポートに米空港デザイン、20万部回収へ

 外交部は25日、第2世代目となるICチップ付きパスポートの発給を開始したが、その内ページに米国の空港のデザインが印刷されていたことが発覚。当初、桃園国際空港の図案と主張した外交部は、その後一転してミスを認めて謝罪、回収を決定する事態となった。

/date/2017/12/27/18passport_2.jpg問題の空港デザイン。桃園空港第1ターミナルのつもりだったとしても、13年に完了した改築以前の古い建物のデザインで、この点もチェックが効いていない(26日=中央社)

 新パスポートについて外交部は、世界でも先進的な偽造防止技術を導入したほか、内ページのデザインに台湾各県市の風景やランドマークなどを採用し、より「台湾色」を強めたと説明していた。

 ところが発給開始直後からインターネット上では、新パスポート内に印刷された空港のデザインは米国のワシントン・ダレス国際空港のものではないかと指摘する声が相次ぎ、「台湾は正式に米国の51番目の州となった」などと揶揄(やゆ)するコメントも見られた。

 これに対し外交部の欧江安副報道官は26日午前の定例記者会見で、「ミスではない。空港のデザインは桃園国際空港のものだ」と主張。「100%台湾の風景を採用した」と強調した。

 ただ、問題のデザインがダレス空港のものであることは一目瞭然で、パスポートと同空港の画像を重ね合わせて完全に一致することを証明するネットユーザーも出現。疑惑は強まるばかりで「ミスをしたなら潔く認めろ」との批判が噴出する中、外交部は同日午後7時に再度記者会見を開き、誤植を認めて謝罪した。

 なお新パスポートは既に20万部が印刷されており、約9,000万台湾元(約3億4,000万円)の損失が生じる見通しだ。

 外交部の説明によると、新パスポートのデザインは中央銀行傘下で紙幣や切手の印刷を手掛ける中央印製廠が担当。問題のデザインは、同機関の美術担当者が手書き原稿を作成する際に誤って桃園空港第1ターミナルによく似た別の空港のネット画像を基にしたことからミスが生じたという。

 ただ新パスポートは発行機関である外交部の許可を経て発給されるため、その説明に「責任転嫁だ」とさらに批判が起きているほか、最初の反応で完全否定した姿勢に対し、「まず態度を保留して調査を進めるべきで、外交機関としての危機対応能力に問題がある」との指摘も上がっている。

 パスポートのような重要書類に今回のようなあり得ないミスが起きたことについては、チェック体制があまりにもずさんだったと言わざるを得ない。