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労基法再改正案が成立、3月施行へ


ニュース その他分野 作成日:2018年1月10日_記事番号:T00074913

労基法再改正案が成立、3月施行へ

 休日出勤を認めない例仮(法定休日)を7日間に必ず1日設定する規定(七休一)を条件付きで解除することなどを盛り込んだ、労働基準法(労基法)の再改正案が10日立法院本会議を通過した。3月1日に施行される。野党や労働団体は「労働者の過労を招く」として反発したものの、産業界を中心に再改正への支持が反対を上回る中、与党民進党が賛成多数で押し切った。再改正によって、労働者の休日設定は「14日間に4日」も可能となり、シフトの柔軟性が復活する。聯合報電子版などが10日報じた。

/date/2018/01/10/00top1_2.jpg林美珠労働部長は再改正を受けて、「管理メカニズムをしっかり整えたい」と語った(10日=中央社)​

4カ月でスピード決着

 七休一に代表されるいわゆる「一例一休」の労基法は2016年12月の施行以降、「人員シフトに問題が生じた」「労務コスト上昇を余儀なくされた」など産業界から批判の声が噴出。蔡英文政権の評価下落の最大要因となったため、昨年9月に就任した頼清徳行政院長が見直しを宣言し、今回4カ月でスピード決着させた。わずか1年余りのうちに労基法が2度にわたって改正されたのは異例のことだ。

12日間連続勤務が復活

 産業界に最も評判の悪かった七休一は、2週間以内に例仮と休息日(所定休日)を少なくとも4日付与する「十四休四」に改め、休日出勤を含めて12日までの連続勤務が認められるようになる。時期、場所、業務の性質、状況に特殊性があると主管機関から認められ、労働組合または労使会議での合意が必要だ。ただ、運用過程でなし崩しにされるのではないかとの懸念の声が、早くも与党民進党の立法委員から出ている。

 また、休日の時間外勤務手当を実働1時間でも最低4時間分支給するとしていた部分を実働時間に基づき支払うとしたほか、月間の残業時間の上限を46時間から54時間に延長し、3カ月で138時間を超えないとした。改正案はほぼ行政院案の通り成立した。

頼行政院長は自賛

 与党民進党は「労使双方に恩恵をもたらすものだ」として、再改正案可決を評価した。「企業側に偏っている」との批判に対し頼行政院長は、「今回の改正は労働者の核心的権益を変更しない前提で、労使双方に柔軟な協力の余地を残しており、台湾の経済発展に資する」と述べて反論した。

 一方、野党国民党は林徳福立法院議員団総召集人が「民進党は過労死の執行人だ」と非難。労基法改悪を阻止できなかったとして、台湾全土の労働者に謝罪した。また、連日抗議活動を行っていた労働団体は、再改正案が可決されるや立法院前で冥銭(死者に供える金色の疑似紙幣)をまいて民進党を非難した。選挙の際に民進党に教訓を与えてやるとの声も聞かれた。

/date/2018/01/10/00top2_2.jpg労働団体は「民進党は労働者を裏切った」と怒りの声を挙げた(10日=中央社)

「新たな労力計り知れず」

 今回の再改正についてワイズコンサルティングの佐々木緑董事兼経理は「日系企業の多くは、1年前の法改正に対して就業規則の修正など対応を一段落させたばかりだ。新たな改正への対応に費やす労力と費用は計り知れない」と指摘した。また、企業の新たな対応に関して「従業員の同意を得ずに労働条件を変更すると労働条件の不利益変更となる恐れがあるため、従業員に説明した上で、良好な労使関係維持に努めることが必要となる」とアドバイスした。