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米国が鉄鋼輸入制限発動、中国材料排除で回避目指す


ニュース 鉄鋼・金属 作成日:2018年3月26日_記事番号:T00076186

米国が鉄鋼輸入制限発動、中国材料排除で回避目指す

 米国が現地時間23日より発動した、鉄鋼とアルミニウムに対しそれぞれ25%、10%の追加関税を課す輸入制限で、台湾は適用除外リストに含まれなかった。鄧振中・行政院政務委員は25日、台湾が適用対象になったのは、中国の原材料を使用していることが一因と指摘した。今後、米国に輸出する鉄鋼製品に、中国の原材料を使用しないと確約するか、使用比率を提示することで、米国が4月末に予定する適用除外リスト最終決定への滑り込みを狙う。26日付経済日報などが報じた。

/date/2018/03/26/00ferro_2.jpg訪米から帰台した鄧政務委員は、米国の追加関税措置は鉄鋼とアルミニウムにとどまらない可能性があるとの見方も示した(25日=中央社)

 鄧政務委員は、米国は中国からの鉄鋼製品をアンチ・ダンピング(AD、不当廉売)関税措置で何度も締め出してきたが、第三地で加工して米国に輸出される鉄鋼製品が規制をくぐり抜けていると考え、追加関税措置を発動したと指摘した。

 鄧政務委員はまた、中国の原材料を使用していないと米国に証明しなければ、中国から原材料を輸入して台湾で加工している鉄鋼製品だけでなく、100%台湾製の鉄鋼製品にも追加関税が適用されてしまうと述べた。このため、台湾の鉄鋼やアルミニウムメーカーに対し、米国に輸出する製品に中国の原材料を使用しないよう呼び掛けると表明。米国に対して不使用を確約するか、何%の鉄鋼製品に使用しているか提示できれば、台湾の適用除外リスト入りが可能なはずだと語った。

 台湾の鉄鋼業界は、中国の原材料使用が理由で追加関税が課されることに不満を感じている。ある上場メーカー幹部は、鋼材の対米輸出は年間1,000億台湾元(約3,600億円)近い上、ライバルの韓国が適用を除外されており、台湾政府は適用除外リスト入りに向けて米国と交渉を続けるべきだと述べた。

高品質で依然優位=CSC

 適用除外リストに含まれた7カ国・地域は、韓国、欧州連合(EU)、カナダ、メキシコ、ブラジル、アルゼンチン、オーストラリア。

 中国鋼鉄(CSC)の翁朝棟董事長は、アジアでは韓国が適用を除外され、台湾、日本、中国などが対象となったものの、台湾の鉄鋼製品は優位性があるので悲観していないと述べた。

 その理由として翁董事長は、トランプ政権は米国の鉄鋼メーカーの生産能力利用率を80%まで7ポイント引き上げたいと考えており、これは700万トンに相当すると指摘。米国は鉄鋼製品を年間3,700万トン輸入しているので、残り3,000万トンは依然輸入しなければならないと説明した。また、米国の鉄鋼メーカーの生産設備は老朽化しているので、質の高い鉄鋼製品は台湾や日本から輸入するしかないと指摘した。

 さらに、米国が高い率の追加課税を発動したことで、鉄鋼製品の価格が大幅に上昇しており、例えば台湾メーカーが強みを持つ、アメリカ石油協会(API)規格の鋼管は価格が25%以上上昇しているので、追加課税が帳消しになると述べた。

 一方、翁董事長は、CSCの対米輸出量は年間6,000トンにすぎないが、台湾からの亜鉛めっき鋼材の対米輸出は50万トン、鋼管は20万トンに上ることから、CSC自身よりもCSCの顧客への影響が大きいと語った。

 ただCSCは、川下のめっき鋼材、鋼管メーカーの大部分がCSCと傘下の中鴻鋼鉄から熱延鋼材を調達しているが、どの程度中国から熱延を輸入して、加工後に米国に輸出しているかは把握していないと説明した。