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村田製作所に中大型MLCC一部生産停止報道、台湾に転注期待


ニュース 電子 作成日:2018年4月17日_記事番号:T00076566

村田製作所に中大型MLCC一部生産停止報道、台湾に転注期待

 中国メディアの報道によると、積層セラミックコンデンサー(MLCC)世界最大手の村田製作所が、一部の中大型MLCCの生産停止を顧客に通知したとされる。世界的な受動部品の供給不足の中での決定で、台湾の国巨(ヤゲオ)、華新科技(ウォルシン・テクノロジー)、禾伸堂企業(ホーリーストーン・エンタープライズ)、日電貿、蜜望実企業(ハニー・ホープ・オネスティー)など受動部品メーカーへの転注が期待される。17日付経済日報などが報じた。

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 報道によると、村田製作所が生産を停止するのは「0402」「0603」「0805」「1206」などの中大型規格製品で、2019年3月31日を最終受注期限とし、20年3月31日を最終出荷期限としたとされる。顧客に対し、生産を停止する規格について今年9月28日以前に最終的な協議に入るよう求めているという。

 村田製作所はMLCCで世界シェア31%を占める最大手で、生産停止によって中大型製品の市場への供給が段階的に20~25%減少するとみられる。台湾メーカーはこの部分のシェア獲得が見込まれる。

車載用に転換

 村田製作所の中大型製品撤退は、一昨年のTDKと同様、新エネルギー車(NEV)やカーエレクトロニクス向けなど、より粗利益率の高い車載用製品への生産転換が目的とみられる。中型製品の平均粗利益率が30~40%である一方、車載用製品は60~70%に上る。MLCCの供給不足が深刻な中であえて生産転換に踏み込むのは、市場の長期的展望を重視した選択とみられる。

受託メーカー、状況さらに悪化

 受動部品の供給不足は今年も解消の見通しが立たないとみられていた。電子機器の受託生産メーカーの一部ラインが生産休止に追い込まれたといった報道も出る中、村田製作所の撤退で供給不足に拍車が掛かることは確実とみられ、メーカー側の対応が注目される。

 なお、受動部品はメーカーが増産しようにも、受動部品不足によって生産設備の供給見通しが立たない悪循環に陥っている。陳泰銘ヤゲオ董事長は以前、生産設備の納期は2016年末段階で6~9カ月だったのが、今年は14~18カ月に延びていると説明していた。

値上げの動き続く

 台湾や韓国のMLCCメーカーは、村田製作所の中大型製品撤退を見越して、先日製品の値上げを行っていた。中国のチップ抵抗器最大手、広東風華高新科技も先週、RC/RSシリーズの「0201~2512」のサイズと製品ユニットで25~30%の値上げを行うと発表した。

 今回、台湾メーカーから新たな値上げの公表はないが、ある大手メーカーが先週末、販売企業に対し価格調整を行い、同時に今後4カ月の受注を埋めたと伝えられる。

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