ニュース 社会 作成日:2018年4月27日_記事番号:T00076743
台湾では、刑事事件の処理を目的とする司法解剖や事故死亡者などの解剖が年間約1,800件行われている。また、こうした解剖は「医師」と「法医師」の両方の国家資格を持つ者のみが実施することができると法で規定されているが、現在、条件を満たす医師は全土で3人しか存在せず、1人当たり年間約600件の解剖を手掛ける状況となっており、問題視されている。
台湾の「刑事訴訟法」では、司法解剖は「医師」によって行われると規定されており、従来は医師の資格を保有していれば担当することが可能だった。しかし2015年に「法医師法」が改正され、司法解剖は法医師によって行われると規定された結果、医師と法医師の両方の資格保有者以外は担当することができなくなった。
なお医師の資格を持たない法医師は、「能力不足」を理由に解剖が許されず、検視のみの担当が認められている。これに対し法医師を育成する台湾大学法医学研究所の李俊億教授は、「医師資格を持たない法医師の能力が足りないというなら、その基準を明確にしてほしい」と訴えている。
また台湾では「生きている人間を診察する方が死者の解剖よりも立派」との認識が強いことや、一般の医師に比べ給与が低いことから法医師になりたがる者が少ないそうで、法務部法医研究所で昨年、法医師1人の求人を行ったものの10カ月が経過した現在も応募がまったくないという。
法医師としてこれまで1,700件以上の解剖を手掛けた経験を持つ曽柏元医師(45)も、当初は母親から「苦労して勉強して法医師になるなんて」と反対されたそうだ。
なおドイツでは司法解剖が担当可能な医師の数は400人、1人当たりの年間担当件数は21件、日本は担当可能医師が150人で1人当たり年間担当件数132件となっており、台湾の法医師の負担の大きさがうかがえる。
このままの状態では法医師の過労だけでなく、解剖や司法の質にも影響が出る可能性があると懸念されており、政府に早急な対策が求められている。
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