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洋上風力発電の事業者決定、日立が発電機納入


ニュース 公益 作成日:2018年5月2日_記事番号:T00076773

洋上風力発電の事業者決定、日立が発電機納入

 経済部は30日、2025年までの稼働を目指す台湾海峡での洋上風力発電事業で、選定業者と発電容量の割り当てを発表した。総発電容量3,836メガワット(MW)の計10カ所の用地で、7つの企業連合が事業に取り組む。投資総額は約7,000億台湾元(約2兆6,000億円)。日本企業では、日立製作所がルクセンブルク企業と共同で風力発電機21基の納入を決定。アジアでの風力発電商機を開拓する足掛かりとする構えだ。1日付経済日報などが報じた。

/date/2018/05/02/00map_2.jpg外資系企業が多く選ばれたことに対し、台湾生産化の初心を忘れたと批判の声もある(経済部能源局リリースより)

 経済部は20年段階で稼働を目指す第1段階(738MW)と、21~25年の稼働を目標とする第2段階(3,098MW)に分けて発表を行った。

 第1段階は苗栗県竹南沖(海能)と雲林県沖(允能)の2カ所で、竹南は台湾の上緯企業(SWANCOR)(発電容量378MW)が、雲林は独wpd(同360MW)が受注を決めた。経済部は選定理由について「時間を重視したため」と説明した。第1段階の割り当て発電容量の当初計画は500MWで、このうち上緯が378MWを獲得するため、残りは122MWのはずだったが、開発効果などを勘案して雲林の枠を360MWまで拡大した。

/date/2018/05/02/wind_2.jpg

 第2段階の用地は彰化県沖が中心で、桃園市沖、雲林県沖も含まれる。第1、第2段階を合わせて発電容量の割り当てを最も多く受けたのは独wpdで計1,058MW。今回の割り当て全体の27.6%を占める。次いで、デンマークのエルステッド(旧DONGエナジー)が900MW、デンマークのコペンハーゲン・インフラストラクチャー・パートナーズ(CIP)が600MW、上緯とオーストラリアの投資銀行マッコーリーが378MW、以下、▽カナダのノースランド・パワー(NPI)▽台湾電力(台電、TPC)▽中国鋼鉄(CSC)──がそれぞれ300MWの割り当てを受けた。

 選定を受けた企業は、経済部の固定価格買い取り制度(FIT)に基づいて、TPCより20年間にわたって固定価格による電力買い取りが保障される。順調に行けば7月に契約が行われ、今年第3四半期より開発段階に入る。

日立など2社で受注額250億元

 このうち第2期の彰化県芳苑海岸のモデル用地で使用する風力発電機は、日立がルクセンブルクのヤン・デ・ヌル社と共同で発電容量5.2MWの21基を納入することでTPCと契約を結んだ。発電機の製造と備え付け、5年間の保守点検も行う。受注額は250億元で、3分の2をヤン・デ・ヌルが、3分の1を日立が担当する。

 日立は日本の風力発電市場でシェア1位で、発電機の累計受注台数は324基に達する。海外での受注が今回が初めて。台湾を皮切りに、東南アジアなどアジアの他地域の風力発電事業に積極的に参入する構えだ。

商機1兆元も

 経済部工業局は、台湾政府による洋上風力発電推進によって9,625億元の投資を誘発し、25年には風力発電の生産額が1,218億元に達するとみている。業界では、海底基礎構造物、発電塔、プロペラ樹脂といった分野で、台湾のサプライチェーン企業20社以上が計1兆元の商機にあずかると期待感を膨らませている。

 既に海底基礎構造物と発電塔はCSCと世紀鋼鉄結構(センチュリー・アイアン&スチール・インダストリアル)が、変圧器と配電盤は士林電機、華城電機(フォーチュン・エレクトリック)、亜力電機(アリス・エレクトリック)が主力メーカーだ。

 また、電力貯蔵システムと発電効率システムは台達電子工業(デルタ・エレクトロニクス)が、ナセルの鋳造部品は永冠能源科技集団(YGG)が担っている。ナセルカバーの先端複合材やケーブルでは大亜電線電纜と華新麗華(ウォルシン・リーワ)、ギアボックスでは台朔重工(フォルモサ・ヘビー・インダストリーズ)、発電機では大同(TATUNG)、東元電機(TECO)、また、プロペラ樹脂では上緯、台湾塑膠工業(フォルモサ・プラスチックス、台塑)などの企業に恩恵が見込まれる。

【表】